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荷主の売上物流コスト率は減少、「転嫁遅れ」の可能性

2023年12月19日 (火)

調査・データ日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は15日、ことし6月から10月にかけて会員向けに実施した、2023年度の物流コストに関する調査の結果をまとめた。208社から有効回答を得た。

企業の売上高に占める物流コスト比率の全業種平均は前年度から0.31ポイント減少して5.00%となり、22年度の0.39ポイント減に続き2年連続の減少と、物流コスト比率自体は21年度をピークに改善傾向にあることがわかった。このうち、134社と大きな割合を占める製造業は0.18ポイント減の5.16%、39社の卸売業は1.58ポイント減の4.13%と減少した一方で、28社の小売業は1.81ポイント増加し5.32%だった。

小売業を除けば全体的に売上高物流コスト比率が減少している状況について、JILSは「ピークである21年度からの揺れ戻し」の現象であるとともに、「物流単価は上昇傾向にあるものの、それ以上に売上高の伸びが大きい」ことが、ここ2年の傾向につながっていると分析。物流事業者からの値上げ要請などで売上高物流コスト比率は長期的には上昇傾向にあるとしており、現状では荷主企業は値上げ要請に応じつつある反面、物流コストの価格転嫁が追い付いていない可能性を指摘した。

値上げ要請に関する調査を見ると、回答企業166社のうち144社(86.7%)が要請を受けたと回答し、これは22年度調査から10.5ポイントも上昇している。費目別では、134社が「輸送費」、68社が「荷役費」、66社が「保管費」、60社が「包装費」の値上げ要請を受けた。値上げ要請を受けた144社のうち、133社(92.4%)が要請に応じている。

適正な運賃が生み出す適正な商品価格

値上げ要請を受けた荷主の多くが要請に応じているのは喜ばしいことであるが、それが価格へ転嫁されていかないと、今度は荷主の経営を圧迫していくことになる。価格への転嫁が進むと今度は消費者の懐が圧迫されていくことになるのだが、妥当なインフレ率であるなら、消費者もある程度はこれを許容しなければならないだろう。理にかなったインフレとして推移するか、経過を見守りたい。

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LOGISTICS TODAY編集部
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