行政・団体消費者庁は19日、ことし6月から11月まで計9回にわたって開催した「送料無料」表示の見直しに関する検討会の取りまとめとして、同庁の方針を発表した。送料の表示に関しては規制せず、送料無料などの「追加負担を求めない旨を表示する場合」には、その表示者は表示についての説明責任を負うものとした。同庁は関係事業者団体に対して、会員事業者に送料表示見直しの啓発を促すとともに、自主的な取り組み状況を注視していく。
具体的には、これまでのように「送料無料」と表示する場合には、誰が負担しているのか、あるいはそう表示するための理由、例えば販促の手法であることなどを明記すること、配送業者に対して適正な運賃を払っていることなどを明記することなどが望ましいとしている。送料無料と表示しない場合でも、「送料当社負担」といった表示や、送料込みの価格を表示することを推奨している。
送料無料表示について、同庁では消費者に「送料という費目を別途支払うことなく、商品を購入できる」という誤解を招くという考えの下で、見直しを推奨する意向を改めて示した。消費者目線では、安価な商品でもまとめ買いをすることなく単品で購入しても気にならなくなることや、配達日時に不在にして再配達してもらっても無料であることから気にしなくなることなど、物流においてさまざまな弊害が考えられる。物流革新に向けた政策パッケージでも施策の柱とされている「荷主・消費者の行動変容」に即し、消費者の理解を促進するきっかけとしたい考えだ。
規制が設けられなかったことから、今後の取り締まりの動きが注目される。消費者庁によると、まずは検討会に参加した4事業者団体に会員への周知、啓発を呼びかけたといい、取り組み状況を見て今後の動きを検討する。呼びかけを守らない事業者への対応についても「今後検討していく」とし、罰則などは設けない。また、「経済の自由を尊重し、規制する方向性では考えていない」と、あくまで事業者に対しては消費者の誤解を招かないような努力を促す方向性で対策を進める。
「送料無料」表示は規制せず、消費者庁が見直し啓発
物流において荷物を置いておくだけの「倉庫」は保管にかかるコストとして捉えられるのに対し、省人化、自動化が進んだ物流倉庫は、極めて少ない人的コストで効率的に荷受けから仕分け、ピッキング、発送までを行える「高度な機能」を持った、別の意味を持つ施設となっている。現時点では多くの場合、送料も単なるコストとして考えられがちである。しかし、物流・配送にかかる人的リソースには限りがあり、ここ最近はそれほど遠隔地でなくとも、普通郵便であれば中3日ほどかかることなどもあるのはご存じの通りだ。低コストの配送であれば、「それなり」の品質の配送で済まされることは、今後ますます増えていくだろう。例えば到着まで時間がかかる場合は低コスト配送、早い場合は高コスト配送などのように分化していくのかもしれない。全体の輸送力が14%以上減ると言われる24年4月以降にも「送料無料」はあるのだろうか?自動化やDXなどで、ひきつづき「送料無料」が実現されるのだろうか?高品質なサービスにはそれなりの対価を支払うべきだと思う一方、テクノロジーでそれが実現されるなら、その時に立ち現れるポスト24問題の物流を目の当たりにしてみたいとも思う。
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