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ロジスティクス商船三井のルーツの1社である大阪商船が1884年5月に創業されてから今年は140周年になることを受けて、商船三井は1日、橋本剛社長による全役職員向けの「創立記念日 社長メッセージ」を公表した。要約は次の通り。
◼︎商船三井・橋本剛社長のメッセージ（要約）
過去において幾多の世界情勢の変動・混乱や大規模な経済危機を乗り越え、当社は海上輸送を通じて日本経済および世界経済の発展に貢献し、企業としても大きく成長を遂げてきた。今日の当社グループの姿は、諸先輩方が数々の船舶のイノベーションを生み出し、また絶えず安全品質とオペレーションを磨いてきた、創意工夫と努力の歴史の上に成り立っている。その原動力は連綿と受け継がれてきた基幹産業としての強い使命感と飽くなきチャレンジ精神だ。140年間育んできた精神を基盤に、本日から当社グループの新たな挑戦の歴史が始まる。
世界情勢の混迷、世界経済の動向、地球環境の悪化など、当社グループを取り巻く状況は日々複雑さを増しており、事業環境の変化への対応や新規の投資判断がますます難しくなっている。今年は、秋に予定されている米国大統領選挙、米中関係のさらなる緊張、中国経済の低迷など、事業環境に大きな影響を与える可能性のある要素が幾つもある。厳しい事業環境が続くが、私たちは自らの企業理念に基づき、グループビジョンの実現に向け、海を起点とした社会インフラ企業として、世界経済の発展、環境問題をはじめとする社会課題の解決に揺らぐことなく取り組みを続けていく。
一年前、経営計画「BLUE ACTION 2035」がスタートし、その中でグループビジョンを2035年のありたい姿として定めた。その実現に向けて事業ポートフォリオの変革に着手し、最初の三年間で1.2兆円の投資計画を策定した。昨年度は、環境投資を中心としたエネルギー事業、安定収益が見込める不動産事業での投資を積極的に進め、当初計画を上回るペースで投資案件を積み上げることができた。新造LNG船の継続的な発注、ケミカル船社Fairfield Chemical Carriersの買収、三井海洋開発株式会社への出資、風力発電メンテナンス事業国内最大手 株式会社北拓との資本提携、ダイビル株式会社による札幌での再開発事業への参画や将来の本社ビル再開発を見据えた虎ノ門三井ビルの取得など、さらなる成長と将来の事業ポートフォリオ変革に向けた投資を実行した。また、当社グループでは、21年より「地域戦略」を掲げ、海外での新規事業開発を推進しているが、昨年度より魅力のある投資案件が各地域から上がってきており、既に意思決定した案件も幾つかある。今年2月には、欧州・アフリカ組織が中心となり、ポーランドでGaz-System向け新造FSRU 1隻の定期用船契約に関する優先交渉権を獲得した。今年度も各地域組織主導による新規投資案件の検討が進んでおり、将来の成長に向けた手応えを感じている。
二年目となる今年度は、初年度の成果と課題を踏まえ、本格的にグループ全体を成長軌道に乗せていくための基盤を固める特に重要な一年となると考えている。 今年度も、全体の投資規模をコントロールしながら、積極的に投資を進めていくが、急激に変化する事業環境の中で、適切な経営判断を行うためには、社外の有識者の経験に基づいた深い知見と幅広い見識を当社の意思決定に活かしていく必要がある。その機能として、専門知識を独立した視点で提供いただきCEOの戦略的な意思決定を支援する「アドバイザリーボード」を設置することにした。また、海外の資本市場へのアクセスを強化し、機関投資家の層を拡大する事を目指した、国際会計基準への移行プロジェクトも今年度から本格化する。経理部を中心に、コーポレート部門、営業部門の双方が協力し、円滑な実現に向けて推進していく必要がある。
私たちの挑戦は、安全品質とコンプライアンスの順守という最も重要な基盤の上に成り立っている。これは、どのような事業環境においても揺るがない。そのことを、この節目の日に改めて確認しておきたい。私も充実した一年にするため老骨に鞭打つ覚悟で挑戦を続けていく。
