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コマースロボティクス、ECに強いWMS開発からさらにその次への戦略へ

成長するWMS、Air Logiは事務員ゼロの実現目指す

2024年5月30日 (木)

話題数多あるWMS(倉庫管理システム)の中でも、コマースロボティクス(東京都港区)が展開するクラウド型WMS「Air Logi」(エアロジ)は、EC(電子商取引)領域で評価が高いソリューションとして、2023年度に年間出荷数3000万件を突破、導入実績もEC企業1400社、倉庫事業者110社に達している。

ECに強みを発揮する帳票出力機能、バッチグルーピング機能

EC事業者向け、BtoC向けの出荷に特化した強みをもつエアロジの強みとは何か。まず代表的な機能としては、送り状の発行をWMSから直接発行する機能、後払いの払込用紙を納品書と一体型でWMSから直接発行する機能があげられるだろう。WMSの中には、帳票の印刷に別の専用ソフトを必要とするものも多いが、エアロジは直接後払い一体型帳票を出力することが可能で、納品書と帳合する事務工程を削減することができる。

▲帳票印刷の機能比較(クリックして拡大)

また、同社の特許技術であるバッチグルーピング機能も、現場のピッキング作業効率の向上に役立つ機能。引当処理をした結果から事前に設定したルールに基づくバッチを自動で生成、同じ購入パターンの注文をグルーピングしたり、配送方法ごとや支払方法ごとといった任意の条件を設けて注文を分割したりなど、各物流現場のニーズに応じてバッチルールを柔軟に設定して多様なEC物流ごとに最適なピッキングが実現できる。トータルピッキングでの俗人化の排除、庫内業務の負荷軽減、帳合ミスの防止などに役立ち、事前に印刷した帳票との帳合を必要としない「送り状後出し」機能と合わせて印刷と梱包工程をスムーズに連携させることで、作業工程、作業時間の削減も実現、作業者の働き方改善にも貢献する。

▲バッチ処理の画面イメージ(クリックして拡大)

低コストと拡張性の高さ

▲SaaS事業部長の中嶋直人氏

SaaS事業部の部長で、物流技術管理士でもある中嶋直人氏は、こうした個別の機能性はもちろんのこと、「低コストであることと、拡張性の高さこそが最大の強み」と語る。さらに、同社自体が3PL事業に携わり自社倉庫を運用していることで、他社には真似のできない物流事業者目線の開発を実現したことも、導入実績に反映されているのは間違いない。物流現場で発生する課題をリアルに共有できることが、低コストながら多機能、さらに利用者の要望に応じたカスタマイズでの柔軟性も備えた拡張性の高さにつながっている。

「BtoBをメインとしていた事業者が、BtoCの領域に事業を拡大するにあたって既存のWMSでは使い勝手が悪く、ECに強いエアロジを導入するようなケースも増えている」(中嶋氏)と言い、さらに、マテハン、自動化機器活用のニーズの増加などが、個別のカスタマイズに強みを持つエアロジの導入実績の拡大を後押ししている状況だ。「案件に応じた拡張性の高さは、インドに開発チームを設けることで、低価格で、しかも短い納期で対応できることが強みとなっており、ユーザーごとに無限にある要望にも素早く丁寧に対応することが可能」(中嶋氏)なのである。

事務員の業務をエアロジが代行、目指すは「事務員ゼロの実現」

ユーザーごとの課題に迅速に対応できる開発力は、そのままエアロジの機能の充実にもつながってきた。「変化するニーズや、多様な要望、ある意味ニッチな領域まで細かく対応している。時にはあまりにも個別性の高い機能開発にもなってしまいがちだが、できるだけ汎用性のある開発へと調整してエアロジの機能ラインアップに加えるなど、開発力、WMSの機能強化として積み上げ、将来的な会社の財産にできると考えている」(中嶋氏)。ユーザーごとの多様なニーズへの個別対応も、ソリューションのアップデートに取り入れながら機能を進化させていくことで、絶えず変化する物流への柔軟な対応力を蓄えていく。たくさんのユーザーに使われ、たくさんの要望に答えることで「成長していくソリューション」が、エアロジなのである。

エアロジの成長の先に掲げられる同社の目標は、「事務員ゼロの実現」だ。物流事業者の支援のために、事務作業を究極まで効率化することを目指す。物流業務委託費の自動計算システム「サブスクビル」や、電子請求書送信ソリューション「Salesgram」の連携により請求書作成から送信までを一気通貫で行えるツールを準備し、「WMSによる倉庫内業務だけではなく、関連する事務作業全般での省人化」(中嶋氏)を目標とする。また、WMS自体においても、これまでのBtoC領域に強いエアロジだけではなく、BtoB領域に強いWMSを、エアロジとは違う開発コンセプトで提供することも予定している。

▲マテハン連携イメージ

新しいコンセプトのWMSでは、「マテハン、自動化機器との連携や、データ活用による経営支援など、大手事業者などの庫内管理と物流に適したシステムを目指す」(中嶋氏)と語り、これまで蓄積したEC向けWMS開発、運用の知見を次のWMS開発に生かして、より広い領域、さらには世界を見据えて事業を展開していく。