調査・データ企業不動産戦略をサポートするククレブ・アドバイザーズ(ククレブ、東京都千代田区)は2日、経済産業省の工場立地動向調査(2023年)に基づく国内企業による工場新設・設備導入に関する投資状況調査レポートを公表した。これによると、新型コロナウイルス禍で新規の設備投資が見送られてきた反動で、コロナ禍前に近い水準にまで設備投資額が回復しているという。
同社のシンクタンク部門であるククレブ総合研究所が、6月7日に経産省から発表された「工場立地動向調査」と結果と、同社の保有データを照らし合わせて、日本の製造業の動向や工場立地のトレンド、今後の動きなどについて分析した。
同研究所によると、23年の工場立地件数は前年比で19.2%の減少となる一方で、立地面積は13.4%拡大し、工場の大規模化の傾向が見られた。単純計算では、22年の1工場当たりの平均面積は1388平方メートルだったのに対し、23年には平均1947平方メートルとなり、1.4倍となった。これは、過去20年間で最も広い面積となる。
この要因について、研究所は、熊本をはじめとする九州や、千歳市など北海道で大型の半導体工場や関連工場の建設が相次いだことを挙げ、実際に電子・デバイス関連工場の立地面積は23年に前年比で8倍近い規模にまで増大したと指摘した。
また、コロナ禍で見送られていた新規の設備投資が回復する動きも見られる。日本政策投資銀行が昨年8月に公表した「設備投資計画調査」によると、23年にはコロナ禍以前の19年の水準近くまで設備投資額が回復した。しかし、各社の設備投資計画との乖離がまだ大きく、24年以降、未消化分の計画遂行が進めば、設備投資の拡大基調は今後も継続すると予測した。
研究所では、各業界企業の経営方針の独自分析も踏まえ、「新設工場などの立地面積や設備投資は堅調で、投資需要は旺盛」とした上で、「各企業がより効率的な生産拠点を設立していく動きは、円安基調による製造業の国内生産体制強化の流れとも重なり今後も続いていく」と分析している。
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