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自動倉庫は大企業だけのものにあらず、中小成長企業こそオートストア活用を

AutoStore導入の常識覆す、オカムラの自動化提案

2024年8月26日 (月)

話題岡山県の物流企業、T2K(ティーツーケー、倉敷市)は、2006年の事業開始から18年にわたりEC(電子商取引)、通販事業者の発送業務や在庫・受注管理代行などを主な事業としており、現在は古着などSKUの多い商材を中心に、地元を中心に50社ほどのクライアントの物流業務を担う。

倉敷市から、オートストアでの物流革新に着手したT2Kの挑戦

▲T2Kの栗山豪利社長

これまでアナログで手作業中心の物流現場だったT2Kが、大胆な庫内業務の自動化に踏み切り、AutoStore(オートストア)を導入したのはことし3月。幾何学的な高密度の立体保管スペース、その上部空間を高速で連携して走り回るロボット、庫内を歩き回る必要のない作業ポートで構築されるオートストアのシステムは、大規模な自動化ソリューションの代表格であり、T2Kでの導入は少し意外な決断のような気もするが、社長の栗山豪利氏は、その目的を明確に「スペースの有効活用と省力化」の2点での改善、成長であったと語る。

「以前は900坪の倉庫の中、2メートルの高さの棚に商品が並んでいた。それが250坪のオートストアの中に商品を収めることができた」ことで、これまでの3分の1にまで削減した運用スペースで、2万9145ビン(専用コンテナ)を保管、34台のロボット、7か所の作業ポートを設けて、課題となっていたスペースの有効活用を実現。全体で40万から50万SKUにおよぶ古着を、オートストアの入出庫、保管、検品、ピッキングでの運用に移行し、特に「以前はすべて手作業、入荷にも1日半から2日を必要としていた」という入庫作業に関わる人手や時間のボトルネック改善、作業者ごとの処理能力の平準化、精度の高い作業計画の立案と実行にも貢献しているという。

 
▲AutoStore導入後の倉庫内

導入前に30人ほどのスタッフが従事していた作業現場は、10人ほどでの運用に変更し、「20人の方にはまた別の現場で活躍してもらえることが大きなメリットとなっている」。具体的な数字については検証中としながらも、導入前と比較して保管スペースは3分の1、作業能力は3倍まで向上し、省スペース、省人化で生まれた余剰空間の有効運用、人材の有効配置など、次の事業成長への準備を整えられる環境となった。

自動化機器についてはオートストア以外のシステムも当然比較検討されたが、1点ものの古着など、SKUが非常に多い同社の商材特性やオペレーションとの親和性、導入までのスピード感、さらにオートストアの国内正規代理店がオカムラであり、以前からマテハン機器の導入や、その後のフォロー体制で評価していたことなどが、最終的な決断を後押ししたとする。入出荷それぞれ季節ごとの繁閑差の大きさも吸収できるだけの効率化を実現できれば、今後の作業遅延を防ぎ、イレギュラーなスタッフ増員なども最小限になると見込む。

導入に向けては、日常業務を止めずにオートストアを導入するため、オカムラとも連携しながら計画を練った。「導入プロジェクトを昨年7月に発足させ、既存商品の別倉庫への移動部隊、後方支援チームなど、それぞれのチームが連携して、チームワークも今まで以上に良くなった」と、予期せぬプラス効果もあったことを振り返る。

運用現場の景色を変えた、ロボット自動倉庫との協働作業

オートストアの導入で、実際の運用現場も変化

これまでは、入庫の際に保管場所が空いている棚を探して歩き回る作業、出庫時のピッキンングリストを見ながら棚の番号を探して歩き回る作業から解放されたことは、何よりも大きな現場改革になったと物流事業部物流グループのマネージャー、東山千晃氏は言う。「保管場所の不足で入荷作業に時間を要したり、ピッキング人員の不足で派遣要請したり」と業務量増加が作業遅延に直結する状況だったが、オートストア導入後は、GTP(Goods To Person)の運用により作業者は歩きまわる必要がなく、ピッキング作業を行っていた13-15人の人員も、3、4人で作業が完了し、これまで午前中から開始していた出荷作業は、午後から夕方までの作業で完結するなど、作業者にも余裕が生まれて職場環境の改善につながったという。

 
▲ピッキング作業の様子

また、東山氏は、オートストア導入前に抱いていた「不安」も、「いつも相談にのってもらい、対応も早く、安心して仕事ができる」オカムラのフォロー体制で、今ではすっかり解消されたという。大きく変化した現場風景にまだ戸惑いもあるが、作業のスピードアップ、労働負荷やミスの削減を体感し、作業に追われて歩き回る現場から、ロボットとの協働作業を安心して見守ることができる現場へと変貌した。

オートストアの導入は、「保管スペース削減」「作業スピード向上」「作業ミス防止」「作業者の負荷削減」といった経営、現場運用の明確な成果以外にも、オートストアを基盤としたサービス提案など他社にはできない企業の付加価値を創出し、自動倉庫で働くこと自体もほかの現場にはない新たな価値を生み出していくことになるだろう。競合他社との決定的な差別化、一歩先んじた事業成長の実現へ向けて、オートストア導入という選択肢が、もはや無謀な決断などではないことだけは確かだ。

初期投資では、補助金活用などのサポートを取り入れながらも、たとえ補助金が無くても事業が成立することを見極め、成長戦略に不可欠な手段としてオートストア導入を検証、評価する過程こそが重要であり、将来の企業像を見据えての合理的な決断だったことを栗山氏は語る。

オートストアは大企業だけのものという思い込み

EC需要が高まる一方、労働人口は減少し、物流現場における自動化と省力化は急務となっている。自動化システムも多様化し、導入の選択肢は増えているが、オートストアなど自動倉庫の大規模なシステムとなると、まだまだ大企業の先進的事例と見なして、中小事業者には手が届かないものと判断されがちである。

しかし、限られた保管スペースの見直しや、今後ますます困難になる人材確保を考えれば、中小規模の成長企業でもオートストアのような改善効果が見込めるソリューション導入の検討が必要になってくるとオカムラは考える。

今回紹介したT2Kの事例は、まさにそんなオカムラとの連携から実現した現場だと言えるだろう。高層・高密度で保管し、必要な倉庫面積を極限まで削減できるオートストアは、たとえば消費地に近い地域拠点など、大規模な拠点運用のみならず省スペース性能を生かした運用でも真価を発揮する。補助金活用による導入の負担軽減など現実的な課題対応でもオカムラはサポートし、事業規模の大小によって成長への投資を諦めることがないよう、現場目線で最適化の道のりに向けて伴走する。

▲高層・高密度な保管スペース

慢性的な労働力不足や、時間外労働の制限など効率化が物流事業者の使命となり、先進的な取り組みや投資には国や地方自治体が補助金なども用意して現場の改革を促している今こそ自動化に踏み切るチャンス。オカムラは、2016年に国内へのオートストア初導入から数々の実績を積み重ねてきたスペシャリストだからこそ、自動倉庫は大企業だけのものという思い込みからの発想転換を促し、設計から保守、初期投資の負担軽減や日常のフォローまで、ユーザーごとの最適な事業成長の選択肢として、オートストアを提案、導入支援できるのだ。

中小企業こそ必要、成長企業だから可能な物流革新

オートストアは大企業のものという先入観を取り払い、さらなる事業成長を目指す企業にこそ必要というオカムラの提案に応えたT2K。その最終的な決断を主導したのは栗山氏であり、自動化設備導入の検討から運用まで、スピード感を持った自動化改革の挑戦と断行も、栗山氏のようなリーダーがけん引するからこそ実現した取り組みだったといえる。逆に、おそらく大企業ではこれほどの早さで実現することはなかったのではないか。「むしろ我々のような中小企業の方がこういった設備を必要」として、チャレンジすることに価値を見出した決断であり、今後はオートストアが積み上げる稼働データの数値を基に事業成長へと踏み込む。

さらに栗山氏は、オートストアによる効率的なスペース活用による生産性の高い現場作りをモデルとして、新たな拠点を新設し、少数精鋭による運営体制の構築も見据える。それはまさにオカムラが提案するオートストアの真価を発揮する運用アイデアそのものだ。

栗山氏にとってオートストアは、次の成長を叶える心強い道具であり、次にどんなことができるのか、そんなワクワクを実現する宝箱のような存在なのである。

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