調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は8日、物価高が長引くなか、これまで高水準で推移してきた物価高に起因する倒産件数に減少傾向が見られてきたとするレポートを公表した。しかし、一度円高に振れた為替相場に再び円安傾向が見られてきたことから、再び増加に転じる懸念があるとしている。
同社のまとめによると、今年度上半期(4-9月)の「物価高」を要因とする倒産は353件(前年同期比4.7%増)で、負債総額は1056億5800万円(同62.4%減)だった。月別にみると、5月にコロナ禍以降で最多となる88件を記録したが、6、8、9月は40件台にまで減少し、物価高への対応の効果が見られてきた。
産業別にみると、最も多いのが建設業の79件(同9.7%増)で、製造業78件(同21.8%増)、運輸業65件(同7.1%減)と続いている。これらの産業は人手不足に加え、燃料や資材価格の上昇の影響が深刻なほか、下請け企業も多く価格転嫁が課題となっている。
負債額は、1億円以上が205件(同7.8%増)で全体の58.0%を占めた。形態別では、破産が321件(同7.0%増)で9割以上を占めた。
物価高については、円相場が9月末に1ドル142円台へと円高に振れたことから、輸入価格の低下が期待されたが、10月に入り再び1ドル149円台に乗せるなど円安が進んだ。このまま、円安傾向が続くと輸入材の価格が高止まりする可能性が高い。
同社は「物価高がすぐに落ち着くことは難しく、人材確保のための賃上げ、借入金利の引き上げなども企業の負担となっている。このため、元請け企業や発注企業が価格転嫁を受け入れられる環境の整備が一段と重要になっている」と指摘している。
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