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国土交通省による改正物流法最新動向報告のほか、ハコベルが登壇

荷待ち等削減義務に、予約システムの正しい活用を

2024年11月14日 (木)

ロジスティクス改正された物流効率化法の規制的措置、判断基準などの政省令策定に向けた取り組みが大詰めを迎えている。本誌LOGISTICS TODAYが14日に開催した物流第再編時代の「荷待ち・荷役対策」をテーマにしたイベントでは、国土交通省から改正物流法の議論の最新状況が解説されるとともに、効率化ツールとして例示されているトラック予約システムの課題についてハコベル(東京都中央区)を交えた議論が繰り広げられた。

▲(左から)ハコベルトラック簿事業部事業部長の平野将樹氏、代表取締役社長CEOの狭間健志氏

改正物流法施行の最終段階、荷待ち・荷役時間削減義務対応の準備を

▲国交省物流・自動車局物流政策課課長の紺野博行氏

基調セッションには国交省物流・自動車局物流政策課課長の紺野博行氏が登壇。改正物流効率化法の施行に向けて国土交通、経済産業、農林水産の3省合同会議の最新状況が共有された。すでに基本方針案の公表とパブリックコメントの募集を経て、物流効率化のための中長期計画作成と定期報告が課される特定事業者の選定基準、特定荷主と特定連鎖化事業者に義務付けられたCLO(物流統括管理者)選任の目的など、最終的な政省令、法令の公布が準備されている。

改正法の基本方針としては、2028年度までの目標として、日本全体のトラック輸送のうち、5割の運行で荷待ち・荷役などの時間を1時間減らし、ドライバー1人当たりでは年間125時間短縮する目標が示され、荷待ち削減における予約システム導入も取り組み事例に上げられている。また、国内全体のトラック輸送のうち5割の車両で積載効率を50%まで高め、全体では44%まで改善させる目標などが設定され、トラック事業者、倉庫、港湾、航空、鉄道など貨物自動車関連事業者、(発・着)荷主ごとの判断基準も、3省とりまとめ案に基いて最終的な法令へと引き継がれる。

基本方針に荷待ち・荷役削減の数値目標が明示されたことから、荷待ち・荷役時間の算定方法についても指針を固めており、荷待ち時間に関しては到着時刻の指定の有無などによって算定方法が違うことなどが示されている。また中長期計画のもとで荷待ち・荷役時間削減が求められる特定荷主事業者などにおいては、荷待ち・荷役時間の計測・報告方法についての指針も示され、特定荷主が管理する全施設全運行の計測・報告を前提としながらも、サンプリングによる計測など、業界特性や事情などに配慮した報告の可能性も示されるなど要件の詳細が検討されているという。

寄せられたパブリックコメントは800件に達し、業界ごとの運用課題などの意見も多数寄せられたことから、それらを精査したうえでの最終的な検討が続く状況だという。特定荷主と特定連鎖化事業者に義務付けられたCLO(物流統括管理者)選任においては、重要な経営判断を伴う業務として役員などの経営幹部から選任されることが必要と強調するとともに、CLOが果たすべき役割についてガイドラインを示して、より明確な指針を示して取り組みを促すなど、CLOの意義の普及にも取り組むという。

努力義務とされる取り組みでも、まずは荷待ち・荷役時間の把握などを入り口として、それぞれの自主的行動につなげることが期待されており、25年4月予定の基本方針や判断基準に関する事項の施行、26年4月予定の特定事業者に関する事項の施行に向けての準備があらためて呼びかけられた。

トラック予約システム導入をゴールとせず、物流課題解決の第一歩に

height=”291″ />物流効率化において導入が推奨される取り組みとしてその名が挙がるトラック予約システムは、荷待ち・荷役時間削減の数値目標も示されて運用拡大も期待される。今回のイベントでは、9月にトラック予約システム「トラック簿」の事業を継承したハコベルが、トラック予約システムの課題や、規制的措置への対応などを解説。配車管理DX(デジタルトランスフォーメーション)などを手がける同社が、トラック予約システムを継承した狙いや今後の展開にまで話題は及んだ。

ハコベルは自ら、トラック予約システムは効率化の万能薬ではなく、ほかの施策との併用が必要と明言する。物流課題を解決するには、標準的運賃の活用による賃金水準向上と合わせた課題解決や、調達や生産との調整などサプライチェーン構造の見直しが必要なものも少なくない。イベントでは荷待ちの発生原因を把握し、トラック予約システムによる改善領域と、サプライチェーンの見直しなどその他の領域での改善部分を見極めることの重要性や、システムの効果を最大化するシステム導入、運用のポイントについても解説された。

特定荷主などに課されるCLO選任義務化に向けて、法令対応としてトラック予約システムのデータを把握するだけではなく、事業戦略として改善に取り組み、ドライバーの労働環境改善を実現することが求められており、トラック予約システム導入によるデータの取得をゴールとせず、現状の把握をスタート地点として、改善へとつなげる姿勢こそが重要であることを強調した。

今回、ハコベルがトラック簿事業を継承したことについて、代表取締役社長CEO(最高経営責任者)の狭間健志氏は同社の既存サービスとの相性の良さや、トラック予約システム分野でもっとも伸長しているサービスとして評価が高く、物流システムDX分野の拡大に貢献することを理由に挙げる。またトラック簿事業部の事業部長である平野将樹氏からは、かねてから協調領域などの効率化を模索してきたデジタルベンダー連携を、よりスピーディーに推進、施策を具体化することができる取り組みであると説明。トラックのマッチングサービス、荷主向けの配車計画・配車管理サービスを提供してきたハコベルがトラック簿と連携することで、輸送の計画や運用を担うトラック手配と、荷役作業部分の、業務内容や物理的な距離の隔たりを解決し、配車システム領域とバース領域を連携させたさらなるオペレーション効率化などの目標が語られた。

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LOGISTICS TODAY編集部
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