M&A東京商工リサーチ(TSR)は26日、今年の食品業の倒産は4年ぶりに600件を超えたとするレポートを公表した。特に価格転嫁が難しい製造業や卸売業で苦境が鮮明だとしている。
同社によると、今年1月から11月までの「食品業」の倒産(負債1000万円以上)は619件で、昨年同期から10.5%増えた。
業態別にみると、製造業171件(同16.3%増)、卸売業231件(同8.9%増)、小売業217件(同7.9%増)だった。
さらに詳しい小分類でみると、最多が「農畜産物・水産物卸売業」の124件(同0.8%減)だったが、3年ぶりに前年同期を下回った。次いで「食料・飲料卸売業」の107件(前年同期比22.9%増)、「菓子・パン小売業」の76件(同40.7%増)と続いた。
資本金別では、1000万円未満が393件(同12.9%増)で最も多く、負債額別も1億円未満が392件(同5.9%増)で、それぞれ全体の6割を占めた。
倒産の理由は、「新型コロナウイルス」関連が232件(同14.7%減)と減少傾向だが、「物価高」が98件(同12.6%増)と増加した。特に製造業54件(同12.5%増)、卸売業26件(同44.4%増)と一部の業態で増加が目立っている。
物価高倒産の内訳を小分類でみると、水産食料品製造業18件(同38.4%増)や菓子・パン小売業14件(同40.0%増)、農畜産物・水産物卸売業13件(同18.1%増)、食料・飲料卸売業13件(同85.7%増)などで、前年同期を上回った。
地区別では、中部、四国を除く7地区で前年同期を上回った。東北57件(同21.2%増)と近畿129件(同21.6%増)、九州76件(同5.5%増)が3年連続、中国43件(同2.3%増)が2年連続、北海道25件(同13.6%増)と関東182件(同11.6%増)、北陸12件(同20.0%増)が2年ぶりに、それぞれ前年同期を上回った。一方、四国は18件(同14.2%減)と、2年ぶりに前年同期を下回った。中部は前年同期と同件数の77件だった。
同社は「今後、業績回復の遅れや価格転嫁が難しい中小・零細業者を中心に、倒産が増えていく恐れがある」と指摘している。
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