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船主協会長年頭所感、商船の安全な航行を望む

2025年1月6日 (月)

ロジスティクス日本船主協会の明珍幸一会長(川崎汽船社長)は1日、今年の年頭所感を発表した。要約は次の通り。

昨年は、中東や紅海を巡る情勢の悪化で、運航船舶は喜望峰へ迂回せざるをえない状況が常態化しました。ロシアによるウクライナ侵攻も長期化しています。

2023年10月のイスラエルとハマスの軍事衝突以降、紅海周辺海域ではイエメンの武装勢力による民間商船を標的とした攻撃が続いています。協会会員会社の運航船舶が乗っ取られ、乗組員と船舶が拘留されてから1年以上が経ちますが、未だに解放されておらず、船舶と乗組員の一日も早い解放を強く望みます。

民間商船への攻撃や不審船追尾などの事案は130件以上発生し、2隻が沈没、4名の船員が犠牲になるなど、商船の安全運航は大きく脅かされています。こうした非道な行為を断固非難し、一刻も早く船舶が自由かつ安全に航行できるよう強く求めます。

ソマリア沖やアデン湾での海賊事案も増加しており、わが国の自衛隊や海上保安庁、各国政府による海賊対処行動に深く感謝するとともに、活動継続への支援をお願いします。

気候変動対策としてのGHG削減・脱炭素への対応も最重要課題の一つです。現在IMOは、23年に採択された「2023 IMO GHG削減戦略」の達成に向けた具体的な規制と条約改正案を議論しています。一方、EUは昨年1月、欧州域内排出量取引制度(EU-ETS)を海運セクターにも適用し、今年1月からは、船舶の使用燃料のGHG強度に係るFuelEU Maritime規制の適用も開始するなど、IMOに先行した地域規制の導入を進めています。統一的な国際規制の整備で、地域規制の乱立を防ぐことが肝要であり、引き続き日本政府がIMOでの議論をリードしていくことを期待し、海運業界もバックアップしていきます。

IMOの目標達成には、新燃料や新技術の開発や新たな燃料の供給体制の構築が必要で、業界や立場を越えた連携による抜本的な取り組みや体制作りが欠かせません。昨年8月、海運大手3社と国内造船4社が、液化CO2輸送船の標準仕様・船型の確立に向けた共同検討を開始しました。わが国の海運・造船の両業界が協力して厳しい国際競争に立ち向かう一歩になると期待しています。

経済安全保障の観点からも、わが国商船隊の国際競争力の維持・強化は必要不可欠です。持続可能で安全、安定的な海上輸送サービスを提供し続け、国民生活を支えるインフラとしての使命を果たせるよう取り組んでまいります。

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LOGISTICS TODAY編集部
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