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船協会長「長期的視野で課題に取り組む」|年頭所感

2014年1月6日 (月)

話題日本船主協会の朝倉次郎会長による年頭所感の要約は次の通り。



リーマンショックを契機に大きなダメージを受けた日本海運だが、海運市況は確実に回復基調にある。各船社の懸命な努力に加え、造船・海運を主体とした海事クラスター関連の人の間での相互協力が我が国特有の不況克服モデルとして機能しえたことは世界に誇れることと考えている。

昨年6月に日本船主協会会長のバトンを受けて直ちにギアをトップに入れ、最優先の課題であった「海賊多発地域での日本船舶の警備に関する特別措置法」の制定に向け、精力的に陳情活動を展開した。残念ながら、一度は廃案になったが、秋の臨時国会で真っ先に成立、さらには11月末に直ちに施行してもらった。

私は昨年9月に我が国のソマリア沖・アデン湾海賊対処部隊ジブチ活動拠点を訪問した。摂氏50度にならんとする猛暑と砂塵の過酷な環境の中”海賊には警護する商船に指一本たりとも触れさせない”との司令官の心強い言葉通りの献身的な活動には、深い感謝と敬意の念を覚えた。我が国自衛隊・海上保安庁を含む各国のこうした懸命な対処活動により、ソマリア沖・アデン湾での海賊事案は近年減少している。

その一方で海賊の活動は護衛が及ばない海域にまで広がっており脅威は解消されていない。

外航海運業界も商船隊の更なる自衛措置の強化と陸上からの情報提供などにより、乗組員の生命、船舶、貨物の安全を確保しつつ、安定的な海上輸送を通して我が国経済安全保障に引き続き貢献していく。

海上安全の確保同様に我が国海運の国際競争力強化は最重要事項であり、その中心が海運税制の維持・拡充である。昨年は、租税特別措置の大幅な見直しが取り沙汰される厳しい状況の中、本年3月末に適用期限の切れる、いわゆる圧縮記帳制度と国際船舶の登録免許税の特例、内航関連で中小企業投資促進税制の延長がそれぞれ認められるとともに、バラスト水処理装置の船舶への搭載工事を促進する施策も講じられることになった。

今後は、トン数標準税制の更なる拡充に向け勉強を開始したいと思う。

その他、地球温暖化対策として他産業に先駆けてはじまった温室効果ガス(GHG)削減や発効が視野に入ったバラスト水管理条約への対応など環境問題、パナマ・スエズ運河通航料値上げの問題、後継者不足が懸念される水先人問題、内航海運が抱える船舶老朽化や船員高齢化の諸課題などに日本船主協会は長期的な視野で取り組んでいく。

我が国海運産業は2年間に及んだ超円高による未曾有の不況を克服したが、こうした努力は必ず報われると私は固く信じている。