
▲公正取引委員会の古谷一之委員長(出所:公正取引委員会)
行政・団体公正取引委員会の古谷一之委員長は1日、年頭所感を発表し、労務費を適切に価格転嫁できるよう優越的地位の濫用や下請法違反事案に対して厳正に対処するとの考えを改めて示した。
公取委は昨年、物流分野の物流特殊指定違反の疑いのある取り引きに対する監視や取締りを強化。委託先の運送事業者らに対し、時間外労働分を価格に上乗せしなかったり、委託業務以外の作業を無償で行わせたりしていた企業に対し、確約計画の認定や警告などを行い、適切な労務費を支払うよう指導した。
さらに、減額や買いたたき、不当な経済上の利益提供要請などの下請法違反に対しても、2023年度は過去10年間で最多となる13件の勧告を行い、24年も12月までに11件の勧告を行っている。
また、関係業界団体などに対しては、業界全体、サプライチェーン全体で取り引き慣行を是正するよう促している。
古谷委員長は所感の中で「中小企業などの持続的、構造的な賃上げを実現するには、労働生産性の向上とともに、取引の適正化を通じた労務費などコスト上昇分の円滑な価格転嫁が不可欠」だと指摘。これまで、23年11月に公表した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」のフォローアップのための特別調査を行うとともに、指針の周知徹底を進めてきたとし、「引き続き、関係省庁と緊密に連携して指針の周知徹底を進め、優越的地位の濫用や下請法違反事案に対して厳正に対処するなど取り組みを一層強化する」とした。
また、新たな商慣習としてサプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させるため、下請法の改正などについて、中小企業庁と共同で「企業取引研究会」を開催し、関係者などの意見を聞きながら検討を進めてきた。昨年12月には、検討結果を取りまとめており、下請法改正法案を早期に国会に提出するとしている。
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