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CDO大野有生氏のコラム公開

東京海上DR、供給網再編とデジタル化の必要性強調

2025年1月22日 (水)

ロジスティクス東京海上ディーアールは1月20日、自社サイトに「サプライチェーン分断の教訓-2024年のインシデントから学ぶ日本の挑戦」というコラムを掲載した。23年末から24年にかけて世界各地を襲った紛争や自然災害の余波を振り返りながら、日本企業が抱える供給網の脆弱性を改めて可視化している。

コラムでは、紅海とスエズ運河が封鎖された「紅海危機」やパナマ運河の干ばつ、ロシア・ウクライナ戦争の長期化、さらには米中間の貿易摩擦によるレアアース輸出制限など、24年に発生した国際的な物流トラブルを一挙に取り上げる。紅海やスエズ運河の停止は、世界貿易の大動脈を麻痺状態に陥らせた。パナマ運河の干ばつに伴う航行制限も追い打ちをかけ、自動車や電子機器をはじめとする製造業全般に遅延やコスト増を引き起こした。日本企業は遠方の紛争や災害であっても、世界的なサプライチェーンを通じて即座に影響を被る現実を突きつけられた形だ。

また、効率性に特化したジャスト・イン・タイム(JIT)モデルの弱点が、近年の地政学リスクや自然災害の多発によって一層鮮明になったと指摘。ロシア・ウクライナ戦争によるエネルギー価格高騰や、米中対立を背景とするレアアース供給制限など、一国で起きた問題が世界のサプライチェーン全体に波及しやすい構造が露呈したことを踏まえ、日本国内の製造企業や物流事業者は、こうした外部の変化が即座にビジネスへ影響を及ぼすリスクを改めて認識する必要があるとした。

コラムを執筆したチーフデジタルオフィサー(CDO)の大野有生氏は、供給網を守るうえで多様化・可視化・分散化の3点を柱とする施策を提案。アジアに偏っていた生産拠点や調達先を見直し、南米やアフリカなど複数の地域で調達ルートを確保することによって、一箇所のトラブルが全体へ連鎖しにくい構造を築く必要性を強調する。

在庫や輸送状況をデジタル技術によってリアルタイムで把握できるようにしておけば、自然災害や政治情勢の変化を迅速に検知し、最適な輸送ルートや生産計画へ切り替えやすくなるとして、日本社会が少子高齢化の局面を迎えている現状を考えると自動化や省人化の動きが避けられず、物流現場の効率化や高速化に向けた取り組みも不可欠──との考えを示した。

また大野氏は、複数の物流拠点を連携させることで災害のリスクを分散させつつ、気候変動に応じたインフラ整備やCO2排出削減技術の導入にも意欲的に取り組む必要があると説く。自然災害の多い日本だけでなく、世界各地で猛威を振るう干ばつや暴風雨などに対処するには、事業継続に関する多面的な想定と準備が欠かせない。こうした進化したサプライチェーンを整えれば、日本企業の競争力向上にもつながり、国際的なビジネス環境での持続的な成長を期待できるとの見込みも提示した。

■コラム

https://www.tokio-dr.jp/publication/column/176.html

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