調査・データ日本ロジスティクスシステム協会(JILS、東京都港区)は1月31日、「物流統括管理者選任の義務化を見据えた荷主企業の現状および課題調査報告書」を公開した。同報告書では物流関連二法の改正に伴い、特定事業者に「物流統括管理者」の選任が義務化されることを見据え、荷主企業の現状および課題などを明らかにすることを目的としてアンケートによる実態把握と分析を行い、資料を取りまとめた。
物流統括管理者の業務については大きく分けて3点とした。1点目は中長期計画の作成、2点目はトラックドライバーの負荷低減と輸送される物資のトラックへの過度の集中を是正するための事業運営方針の作成と事業管理体制の整備。3点目としてトラックドライバーの運送・荷役などの効率化のために必要な業務とし、これを細分化すると「定期報告の作成」「貨物運送の委託・受渡しの状況に関する国からの報告徴収に対する当該報告の作成」「リードタイムの確保、発注・発送量の適正化などのための社内の関係部門間の連携体制の構築」「トラックドライバーの運送荷役などの効率化のための設備投資、デジタル化・物流標準化に向けた事業計画の作成、実施および評価」「職員の意識向上に向けた社内研修などの実施、調達先および納品先の物流統括管理者や物流事業者の関係者との連携・調整」とした。
物流統括管理者が対応すべき課題についてはステージ別に取りまとめた。まず最低限として物流関連2法で定められている中長期計画の作成および定期報告といった責務をクリアすること、また事業運営方針の作成と事業管理体制の整備を進めていることとした。次の段階として物流コストの可視化や運送時間の削減・効率化と積載率の向上、物流関連指標 (KPI)設定の定期的なモニタリングを進めることとした。また次の段階では自社のサプライチェーン部門と連携することで、在庫管理の適正化を実現すること。また物流指標や可視化された物流コストから効率的な輸配送を実現するための施策を検討・推進することとした。さらに最終段階として社内外のステークホルダーと連携し、サプライチェーン全体の最適解を踏まえた物流戦略を構築することで事業の継続性に貢献、またSDGsの観点から自社の物流が社会に与える影響を考慮し、自社の課題として認識することとした。
今回の結果を受け同社は、産業界において特定荷主全体のロジスティクスレベルの底上げが重要であり、ロジスティクスレベルが低いセグメントを優先的に支援する必要があると分析した。さらに、まずは法令順守への取り組みに対する支援が最優先の課題とした。「物流統括管理者に就任する予定者の知識不足が懸念される」という意見もあり、物流統括管理者として選任される見込みのある人材を対象に、最低限の知識を習得できる教育プログラムの提供も有効な支援策となりうるとした。
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