産業・一般労働政策研究・研修機構(JILPT)は14日、「人への投資と企業戦略に関するパネル調査(第2回)」の結果を発表した。同調査は企業における「人への投資」をはじめとする人材戦略の変化が経営や労働市場に及ぼす影響を継続的に把握するため、2022年より開始した調査の第2回目。有効回収数は中小企業2518社、大企業調査806社。
人材育成のための研修の受講者の割合については、前回調査から引き続き大企業の方が高く、企業規模による取組格差はみられるものの、この1年間において中小企業、大企業ともに全体として受講者割合は概ね拡充傾向となった。
人員の過不足状況については、中小企業では正社員を中心に人手不足感が強い状況。大企業では、正社員、非正社員ともに人手不足感が強まっている。デジタル化を担う人材や現場の技能職・サービス職・販売職などで引き続き人手不足感が強い状況となった。
人材マネジメントの取組について、人材育成に関する項目については大企業において非正社員を中心に取組の進展が顕著だったが、比較すると中小企業の進展は小幅で、健康経営や従業員のインセンティブを高めるための制度に関しては大企業での取組の進展が目立った。
デジタル技術に関しては、大企業の方が中小企業よりも活用に積極的であり、大企業と中小企業との取組格差が拡大していることがわかった。AI(人工知能)を活用したデジタル技術の導入に関しては、大企業と中小企業とで導入状況だけでなく将来的な認識にも格差が拡大している。
在宅勤務(テレワーク)制度の導入状況については、中小企業では変化が小さかった一方、調査対象の大企業ではコロナ禍の期間において一旦導入していた在宅勤務制度が廃止されている可能性がある。在宅勤務を実際に活用した従業員の割合は中小企業では制度活用の着実な進展がみられた一方、大企業ではより限定的な利用となっている傾向となった。
23年度の賃上げの状況については、中小企業では9割方の企業で何らかの賃上げの取組がなされた。特に「ベースアップ」は5割程度で、「新卒者の初任給の増額」も2割程度で実施された。また、「非正規雇用・パート労働者の昇給」も2割程度の企業で実施。大企業調査では大半の企業で何らかの賃上げの取組がなされ、特に「ベースアップ」は調査対象企業の6割程度、「新卒者の初任給の増額」も5割程度で実施され、実施割合が25%ポイント程上昇。また、「非正規雇用・パート労働者の昇給」も5割程度の企業で実施された。
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