調査・データ帝国データバンク(TDB)は27日、2024年のIPO(新規株式公開・株式上場)動向について調査結果を公表した。同調査は企業概要データベース「COSMOS2」などを用いて2024年の国内IPO市場の動向と特徴について集計・分析したもの。
2024年に新規株式公開(IPO)した企業は86社だった。前年の96社から10社減少し、3年連続で100社を下回った。規模の面では、初値で換算した時価総額が1000億円超の大型IPOは前年から横ばいの6社だった。なかでも、東京地下鉄は9500億円と、2018年に上場したソフトバンク以来の大型上場となった。86社のうち初値が公開価格を上回ったのは63社で、全体に占める企業の割合は73.3%となり、前年より3.5ポイント上昇した。
業界別の構成比では、「情報サービス」を含む『サービス』が65.1%(前年比1.6ポイント減)で突出して高く、さらに細かく業種別にみると「パッケージソフトウェア」や「ソフト受託開発」を含む「情報サービス」が全体の18.6%(16社)でトップ。製造業向けAIソリューションを提供するVRAIN Solutionや、大手企業向けDX(デジタルトランスフォーメーション)内製支援サービスなどを手がける情報戦略テクノロジーが含まれる。また、スポットワーク仲介の草分け的存在として知名度の高まった大型IPOのタイミーの上場が注目を集めた。
同社によると、2025年のIPO市場はAIやDX関連業界がけん引する流れが予想されるほか、銅製錬大手でENEOSホールディングス傘下のJX金属の上場など大型IPOが複数控えているとみられ、活況が期待される。一方で、アメリカおよび世界経済への影響や日本国内における金利の上昇、地政学上の不確実性の継続など国内株式市場の懸念材料も少なくなく、特に財務基盤が弱いスタートアップを含む新興企業では金利上昇により業績に影響が生じる。こういった企業を中心に、IPOを延期あるいはIPOの代わりに他社による買収(M&A)を選択する動きが加速する可能性があることも踏まえると、IPO企業数が急激に増える要因は乏しいと分析した。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com