ロジスティクスエミレーツ航空(UAE)は4日、一時的な運航混乱を経て、グローバルネットワークの96%を回復し、ほぼ通常水準の運航体制へ復帰したと発表した。現在は72か国137都市へ週1300便以上を運航しており、ドバイを中核とする国際航空ハブ機能の再構築を進める。一方で、中東情勢を背景とした空域リスクや海運混乱はなお続いており、航空貨物運賃の高止まりや欧州系航空会社の復便遅れなど、物流正常化には時間を要する状況が続いている。

(出所:エミレーツ航空)
同社によると、現在の運航能力は平常時比75%水準。南北アメリカ、欧州、アフリカ、中東、アジア・オセアニア地域で段階的に便数を回復しており、3月1日から4月30日までの減便期間中でも470万人が利用した。日本路線では成田、羽田、関西へ毎日旅客便を運航しているほか、貨物専用便を関西へ週2便、成田へ週1便運航。5月22日からは成田向け貨物便を週2便へ増便し、日本-ドバイ間の輸送力強化を進める。一方、成田路線2便目のデイリー旅客便開始は10月26日へ延期した。
ただ、航空便回復がそのまま物流正常化を意味する状況には至っていない。UAE一般民間航空局(GCAA)は5月2日に空域制限を解除したものの、3日時点の実便数はエミレーツ航空で危機前比88%、UAE系主要4社合計では73%にとどまっている。欧州航空安全機関(EASA)もUAE周辺空域への警戒を継続しており、ルフトハンザやKLMなど欧州系航空会社のドバイ便停止も続く。
物流面では、航空貨物市場のひっ迫も長期化している。航空貨物市場データ会社ワールドACDによると、中東・南アジア発(MESA発)のスポット運賃は前年比65%高水準で推移。エミレーツ航空などUAE系キャリアの便数回復によりベリー貨物スペースは戻りつつあるものの、ホルムズ海峡周辺の海運リスク継続によって航空シフト需要が残り、運賃低下にはつながっていない。
海運側では、国際海事機関(IMO)が4月時点でペルシャ湾・ホルムズ海峡周辺における29件の船舶攻撃を確認。船舶追跡データでは、ホルムズ海峡通航船舶数が危機前の1割未満まで減少している。緊急貨物の航空転換需要が継続しており、航空・海運双方でサーチャージや追加コスト負担が拡大している。
日本側でも影響は広がる。JALは羽田-ドーハ線の運休を継続しており、ANA、JALともに5-6月発券分の長距離路線燃油サーチャージを片道5万6000円へ引き上げた。ANAカーゴや日本貨物航空(NCA)の国際貨物燃油サーチャージも高止まりしている。外務省はUAE全土への危険情報「レベル3」を維持しており、現地倉庫監査や駐在員派遣など物流実務にも影響が及んでいる。
こうしたなか、エミレーツ航空は柔軟な予約変更や乗り継ぎ支援サービス「ドバイ・コネクト」、マイレージ優遇施策などを打ち出し、ドバイ経由需要の回復を進める。中東航空ハブの運航再開は進む一方、物流現場では依然として代替ルート確保や燃油負担、輸送スペース調達が継続課題となっている。
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