行政・団体国土交通省は7日、国際海事機関(IMO)が4月27日から5月1日に開催した第84回海洋環境保護委員会(MEPC 84)の結果を公表した。2050年までの国際海運ゼロエミッション化に向けた新たな国際統一ルールについて、日本が提示した修正案を含めた追加協議を9月と11月に実施し、12月初旬の採択審議再開を目指すことで合意した。昨年10月に各国対立を受けて中断していた条約改正交渉が再始動する形となった。
IMOでは現在、国際海運からの温室効果ガス(GHG)排出ゼロに向け、MARPOL条約附属書改正による燃料規制制度や基金創設を柱とする新ルール導入を検討している。ただ、昨年の臨時委員会では、一部加盟国が「実質的な世界炭素税につながる」と反発し、採択審議が1年間停止されていた。
今回、日本は各国の懸念を踏まえた修正案を提示した。主な内容は、LNG(液化天然ガス)燃料船も基準適合船として扱えるようGHG排出基準値を見直すことに加え、IMO基金や義務的賦課金制度を導入せず、基準超過船と基準適合船の間で排出量を相殺できる仕組みを導入するもの。ゼロエミッション船導入促進と、既存燃料船への急激な負担回避の両立を狙う。
一方、英国や島しょ国は現行案の維持を主張しており、EU系諸国や途上国を含めた意見対立は依然大きい。リベリア、アルゼンチン、パナマも独自修正案を提出しており、今後の作業部会では基金制度や規制水準を巡る調整が焦点となる。海運業界では、燃料転換投資や船隊更新の方向性を左右する制度設計として関心が高まっている。
また会合では、ペルシャ湾でのイランによる攻撃を「国際法違反」と非難し、海洋環境汚染につながる攻撃停止を求める決議も採択した。ホルムズ海峡の安全航行維持について、多数国が「航行の自由は国際海運の根本原則」と強調した。
このほか、北東大西洋をNOx・SOx排出規制海域(ECA)に指定するMARPOL条約改正を採択。27年9月以降、対象海域では低硫黄燃料使用やNOx3次規制が適用される。さらに、メタノールやエタノールなど代替燃料船に対応するEEDI計算ガイドライン改正や、船舶からのメタン・亜酸化窒素排出測定ガイドライン採択、船上CO2回収装置(OCCS)の制度化検討なども進展した。
海運業界では、EU ETSやFuelEU Maritimeなど地域規制が先行する一方、国際統一ルール不在による制度分断リスクが課題となっている。今回のMEPC84は、LNGやメタノール、アンモニアなど複数燃料が並立する移行期において、国際海運の脱炭素制度設計を巡る政治調整が本格化した会合となった。
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