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プロロジス、グリーン化など物流貢献領域を拡大

2025年3月21日 (金)

▲都内で開催された来日記者会見

ロジスティクスプロロジスは21日、ハミード・R・モガダム共同創業者会長兼CEO(最高経営責任者)の来日記者会見を都内で開催。モガダム氏と日本法人代表取締役会長兼CEOの山田御酒氏から、今後の同社事業方針を解説した。

▲ハミード R. モガダム氏

モガダム氏からはグローバル事業の動向が解説された。同社はグローバル物流不動産ビジネスのリーダーとして、世界20か国で1億2000万平方メートルの物流不動産を開発、ムーディーズの信用格付けもA2への格上げが報告されている。堅調な業績、最高クラスの物流施設ポートフォリオ、健全な財務管理、安定した資金調達力、事業計画の確実な遂行などが評価された形だ。

今後、614万平方メートルの施設を開発・運営する日本はもちろん、インドで54万8000平方メートル、中国で530万平方メートルの開発を展開するなどアジア市場を重要な攻略エリアに位置付ける。インドやシンガポールの成長、中国経済回復の期待など、日本を含むアジアでの開発を事業成長のキーポイントに掲げて、積極的な市場開拓に取り組む。

モガダム氏は、世界の物流不動産市場のトレンドとして、EC(電子商取引)需要の増加が、多様な商品種別や在庫、返品処理や小包配送加工のためなど、より広いスペース確保の必要性が高まっていることが、同社事業の追い風になっていると指摘する。消費地に近い立地を求める傾向の強まりに対して、施設の新規開発では都市中心部から離れざるを得ない状況、新規事業者の参入障壁となっている状況にあることも、都市中心に近い立地での開発力を持つ同社のの後押しになっているという。

アメリカの実質賃料は上昇傾向にあり、この傾向は建築費高騰が顕著な日本においても進行するだろうと予想。モガダム氏は現在の市況について、調整局面から、回復局面・ピーク局面へと移行しており、これから訪れる拡大局面への備えが必要と語る。

次世代を見据えた同社の取り組みとして、低炭素化などの「エネルギーとサステナビリティ」分野、EV拡充など「モビリティ」分野、人材確保のための「雇用」分野、庫内効率化など「オペレーション」分野という4分野の課題解決ソリューション「プロロジス・エッセンシャルズ」としての取り組みについても解説。ベンチャーキャピタルによるイノベーションへの投資は、日本をはじめとしてグローバルで50社以上、390億円以上の実績を重ねており、プロロジス・エッセンシャルズの課題解決へとつなげていく。

特に、炭素排出量削減への取り組みでは、30年にスコープ1、2のネット・ゼロ達成、40年にバリューチェーン全体(スコープ1、2、3)のネットゼロ達成という高い目標を掲げる。太陽光発電設置と蓄電能力はアメリカ2位、グローバルでも500メガワットの発電量に達するなど、全世界的なネットゼロの取り組みを加速しており、オランダでは世界初のゼロカーボン認証物流施設が稼働に至っていることや、カスタマーのサステナビリティ取り組み目標を、施設性能で初期に達成した事例なども紹介した。

さらにグローバルでの次世代への取り組みとして、データセンター開発、デジタルインフラへの投資戦略について紹介した。アメリカでのデータセンター需要は急増傾向にあり、特に都市近郊のデータセンター需要には既存の倉庫施設を転換するなどの取り組みを行うなど、すでに30以上のデータセンター稼働の実績があること、今後も中小規模のデータセンターなどの開発を展開していくことを説明した。モガダム氏は、データセンター開発での同社の優位性について、大規模ハイパースケーラーからのシビアな要求に対応できる開発力と実績、開発許可取得の早さや、必要設備の調達もスケールや資金力を生かして迅速に開設できることや、カスタマーの要求に応えて素早く施設を供給できることが強みだと解説した。

▲日本法人代表取締役会長兼CEOの山田御酒氏

山田氏は、国内の物流不動産市場を紹介。日本市場でもグローバル同様EC比率の高まりに対して、建築費の高騰も顕著となり、新規供給が抑制されている現状を解説。そのなかで同社は、千葉のプロロジスパーク八千代2(25年4月完成予定)、都市型施設プロロジスアーバン東京錦糸町1(同6月完成予定)、BTS型を中心とした冷凍冷蔵倉庫(プロロジスパーク仙台泉、海老名2など)、HAZMAT(危険物倉庫、プロロジスパーク古河6、7など)と、多様なカスタマーの物流課題に対応する施設開発を展開。また、都市部だけではなく、盛岡、北上金ケ崎、郡山、愛知県東海市、岡山など24年問題対応として地方中核都市へと開発を広げている。

さらに、ただ施設の開発提供ではなく、物流課題そのものの解決に向けた取り組みを進めていることを説明。つくばに続くインキュベーション施設第2弾「inno-base TOKYO-OSHIAGE」(イノベース・トウキョウ・オシアゲ)を開設するなど、スタートアップ支援、新規ビジネス創出のバックアップも強化。共同輸送コミュニティー立ち上げによる企業間連携の促進、人材育成プログラムの提供やコンサルティング取り組みなど、これからの時代の物流を担う新たなデベロッパーの役割を担う姿勢を明らかにした。今後、大型施設の材料調達やオペレーションなどによる環境取り組みへのサポートなども重要な取り組みとする。日本での太陽光発電では、30年に110メガワットまで拡大することを目標とし、自家消費と余剰自己託送、コーポレートPPA、再生可能由来の電力をデータセンターで活用するなど、電力グリーン化のサポート事業に力を注ぐ。

山田氏は、建設費の高騰、首都圏の空室率上昇などにより、物流不動産市場のプレーヤーも、リーマンショック後の状況同様の変化があるだろうと予想。物流不動産市場から撤退する企業も出てくると予想されるなかでも、同社は市況に関わらず安定した供給を進めていくことを使命として、そのための準備を進めていくと語った。

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LOGISTICS TODAY編集部
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