調査・データ矢野経済研究所は3日、2023年の国内小売市場規模は新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことから人流が活発化し、個人消費とインバウンド(訪日外国人客)需要の回復で、前年より増加したとする調査結果を公表した。
それによると、23年の国内小売市場で、インバウンド需要の回復を受けて高い成長率となったのは百貨店や鞄・袋物専門店の市場だった。また、物価の高騰などで、国内の消費者の節約意識が高まる中、中古品販売店や均一価格ショップが引き続き存在感を増した。
また、原材料やコストなどの高騰によって商品価格の値上げが続き、商品単価が上がったことで売り上げは増加したものの、流通小売各社は値上げによる顧客離れを防ぐため、PB(プライベートブランド)商品の開発やAI、テクノロジーを使った利便性の向上で顧客満足度を高めようとする動きが見られた。エネルギー価格の高騰や人手不足への対応も急務となっており、DXなども進めながら働き方改革に注力する企業も増えた。
物価高が長期化し、更なる値上げが見込まれることから、消費者は節約志向にいっそう傾いており、食品スーパーなどでは購入点数が減少する傾向が強まっている。食料品など必需品以外の商品では、この傾向がさらに強くなると考えられる。
流通小売業各社は、ほぼすべての分野でコスト上昇分の価格転嫁が進む中で、取扱いアイテムの拡張やPB(プライベートブランド)戦略、富裕層マーケティング戦略などで物価高対策を図っている。
24年については、訪日外国人客の増加だけではなく、円安傾向も続いたことから、インバウンド需要が拡大すると見られる。一方、ここ数年徐々に回復してきた国内需要は落ち着きを見せ始めており、同社は24年の国内小売市場規模は前年からの微増にとどまるとしている。
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