行政・団体船員養成機関として海技大学校や海上技術学校を運営する海技教育機構のあり方を検討している国土交通省は23日、来年度から4年間の中期目標期間で取り組むべき方向性の取りまとめを公表した。海上技術学校などの集約化や大型練習船の減船はやむを得ないとしたものの、養成規模は維持するとし、練習船の代替建造は必要とした。今後、次期中期目標を策定し、船員養成の基盤強化を図る。
同機構は海上技術学校2校、海上技術短期大学校5校、海技大学校1校を運営し、5隻の大型練習船を保有。商船系大学や商船系高等専門学校と連携して大型練習船による航海訓練を実施するなど、日本の基幹的な船員養成機関となっている。
しかし、学校施設や練習船の老朽化や入学者の定員割れ、教員や乗組員の不足などの課題があり、国は昨年6月に「海技教育機構の中期的なあり方に関する検討会」を設置し、同機構と船会社の役割分担や学校・練習船のあり方、教員・乗組員の人材確保、財務基盤の安定などについて、官民で議論を進めてきた。
取りまとめでは、海上技術学校などの集約化をはじめ学校運営のあり方を見直すことや、大型練習船の1隻程度の減船はやむを得ないとしたうえで、全体として養成規模は維持し、老朽化した練習船の代替建造は必要だとした。訓練については、同機構による乗船実習と船会社による社船実習の両方の強みを生かした訓練を実施することが適当で、質の高い訓練環境を維持するための国の支援も必要だとした。
人材確保では、学校の教員や練習船の教官などの採用要件を見直すとともに、処遇の改善を検討。財政基盤の強化に向けて、国の予算確保を求めたほか、学生に負担を求める場合は、支援制度の拡充と合わせて行うとした。
さらに「優秀な船員を養成するためには、熱意のある教員(教官)・乗組員の確保が不可欠だ」と指摘したうえで、「教育人材を継続的、安定的に確保するため、全国異動のあり方や福利厚生も含めた処遇改善に最優先で取り組む必要がある」と職場環境の整備を強く求めた。
同省では今後、来年度の予算要求にむけて、具体的な次期中期計画の策定を進める。
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