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運輸・倉庫は人手不足対策で福利厚生に前向き

2025年10月23日 (木)

調査・データ帝国データバンク(TDB、東京都港区)は23日、企業の5割が福利厚生の充実に前向きで、多くが採用・定着率の向上を目的としているとの調査結果を公表した。建設や運輸・倉庫など人手不足が続く企業で、前向きな姿勢がみられた。

全国2万5546社を対象に、9月16日から30日まで、インターネットを通じて福利厚生に関する企業の実態についてアンケートを実施。1万554社から回答があり、回答率は41.3%だった。

調査結果によると、今後、法定福利を除く福利厚生を充実させる予定があるかを尋ねたところ、「内容を充実させる予定」の企業は17.4%、「金額を充実させる予定」は4.6%、「内容・金額の両方を充実させる予定」は25.6%だった。合計すると47.6%と5割近くにのぼった。一方、「予定はない」は30.6%と17.0ポイント下回った。

福利厚生を充実させる理由については、「求職者に福利厚生を重視する傾向がみられる」や「従業員の定着率を上げるため、同業他社に引けを取らないレベルまで改善を図る」といった声があり、人手不足が深刻化するなか、採用対策や定着率の向上を目的に福利厚生の拡充を図る企業が多かった。

一方、「予定はない」とした企業からは、「原資の確保が難しい」や「福利厚生の充実より賃上げが優先と考えている」といった回答があった。

「福利厚生を充実させる」とする企業規模別にみると、「大企業」は57.9%で全体を10.3ポイント上回った。一方で、「中小企業」は45.8%、このうち「小規模企業」は38.5%となり、企業規模が小さいほど割合が低くなった。

業界別に「充実させる」の割合をみると、人手不足が深刻化している「建設」が58.7%で最も多く、「運輸・倉庫」が55.1%で続いた。

取り入れている法定福利以外の福利厚生を複数回答で尋ねたところ、「通勤手当」が85.5%で最も多く、「慶弔休暇」の85.4%が続いた。次いで、「慶弔見舞金」の76.1%や「退職金」76.0%、「傷病休暇」65.9%、「その他特別休暇」55.7%、「家族手当」52.5%など従来型の福利厚生が目立った。

一方、働き方に関係する「短時間勤務」(37.5%)や「時差出勤」(28.9%)、「在宅勤務」(28.5%)、「フレックスタイム」(19.5%)は導入率が低く、「人間ドック」(36.6%)や「メンタルヘルス相談」(28.1%)など健康支援に関する制度も3割前後にとどまった。

今後取り入れたい福利厚生については、「社員旅行の実施・補助」と「フレックスタイム」がいずれも11.4%でトップとなった。次いで、「人間ドック」(11.3%)、「育児・介護に関する補助の充実」(11.1%)、「ノー残業デー」(10.5%)、「奨学金返還支援(代理返還)制度」(10.4%)、「サブスク型福利厚生サービス」(10.1%)などが続いた。

いずれかの制度を取り入れたいと考える企業は49.1%で半数近くを占め、中小企業が49.4%で大企業の47.6%を上回った。

同社は「人手不足の長期化による人材獲得の競争が激化するなか、福利厚生は重要な意味を持つようになっている。政府による中小企業向けの政策的支援や、導入しやすい簡易モデルの整備が求められる」としている。

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