ロジスティクス月面輸送サービスの実現を目指すispace(アイスペース、東京都中央区)は21日、同社の欧州法人ispace EUROPEが米バレルハンドとの間で、ユネスコの文化・言語遺産を保存した記憶ディスク「Memory Disc V3」を月面に輸送する契約を結んだと発表した。
バレルハンドは宇宙経済の拡大を目指す民間企業で、宇宙飛行士が宇宙で使える記憶媒体としてMemory Disc V3を開発。現在は人類の記憶や文化を後世へと継承するための活用が検討されている。
Memory Disc V3は直径19ミリ、厚さ1.2ミリ、重さ1.7グラムの記憶媒体で、ナノフィッシュ技術を用いて、4ギガバイト分の情報が、ニッケルの表面に超微細に刻まれている。また、ニッケルは放射線や極端な温度変化、真空といった過酷な宇宙環境にも耐えられ、紙や一般的なデジタルメディアとは異なり、物理的な劣化がほとんど生じない。このため、数百万年単位で情報を長期保存できる。さらに、最大13万ドット・パー・インチという顕微鏡レベルの超高解像度で刻まれた情報は、極限の環境でも電力やデジタル機器を使うことなく、拡大すれば読むことができる。
Memory Disc V3は、ispace EUROPEが開発するマイクロローバー(小型月面探査車)に搭載される予定で、マイクロローバーは2027年の打ち上げを目指している。
ispace Europeは「人類が宇宙を探査するにあたって、私たちは技術だけでなく、物語や価値観、文化遺産も携えていく必要がある。政府や文化機関、民間企業と連携しながら、人類の歴史を地球外にも保存する枠組みづくりに取り組んでいく」としている。

▲ispace-U.S.が開発を進めるAPEX 1.0ランダーのイメージ(出所:ispace)
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