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運輸安全EXPO、社員の健康思いやるサービス続々

2025年5月29日 (木)

ロジスティクス運輸安全・物流DX EXPOが28日から、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されている。6月1日からは、企業による熱中症対策の義務化が始まるが、それに先立ち、会場では従業員の健康管理に関連したさまざまなソリューションが展示された。

患者自身が医療情報を管理できるアプリ「カルテコ」を開発するメディカル・データ・ビジョンは、運輸・物流業界向けの新サービス「カルテコworkwell」を出展。運送業では、出勤時の勤怠確認、運転免許証の確認、アルコールチェック、点呼などの作業が毎回必須とされているが、同社はそのタイミングでドライバーの疲労度を測定する仕組みを提案している。

▲メディカル・データ・ビジョン事業企画本部企画推進営業部門長、今吉一将氏

ドライバーは自身のスマートフォンにインストールした「カルテコworkwell」アプリを使い、顔をカメラで10秒間計測。涙袋の下の状態を読み取ることで、疲労度や自律神経の状態を確認できる。さらに、運行中の「430休憩」や運行終了時にも測定することで、ドライバーの体調をより細かく把握することが可能となる。

このアプリはすでに複数の物流・運送事業者に導入されている。同社の事業企画本部企画推進営業部門長・今吉一将氏によると、「心身の疲労を可視化・記録することで、従業員の健康状態を把握し、適切な管理ができている」という。

こうしたソリューションは中小規模の企業では導入が進みにくい傾向にあるが、福利厚生の一環として活用している事業者もある。そうした企業では、「中高年ドライバーの健康管理ツールとしての活用に加え、世代の離れた若年層ドライバーとのコミュニケーションのきっかけにもなっている」といった効果も報告されている。また、毎日のチェックを習慣化することで、ドライバー自身が疲労や健康に対する意識を高めるきっかけにもなっているという。

一方、電子お薬手帳アプリを開発するharmo(東京都港区)は、運輸業界向けの服薬管理サービス「harmoお薬手帳 for Driver」を展示した。

このサービスは、従業員のスマートフォンにインストールされたお薬手帳アプリと連動し、アレルギー薬や鎮痛剤など、運転に支障をきたす可能性のある薬が処方された際にアラートを表示する機能を備えている。

▲ハルモ事業開発本部ビジネスコンサルティング部の吉田奈央氏(右)と同社の事業に参画する大塚ウエルネスベンディング関東支店健康経営アドバイザー小森美波氏(左)

また、糖尿病や高血圧といった生活習慣病に対しては、定期的な処方が途切れている場合に「受診が中断された」と判断し、管理者に通知する仕組みもある。

いずれのサービスも、導入すればすぐに効果が現れるというものではない。運転中の疾患による事故や労災の防止は、こうしたツールを通じて従業員と継続的にコミュニケーションを取り、労働環境を改善していくという地道な取り組みの積み重ねによって実現されるものだということを忘れてはならない。

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LOGISTICS TODAY編集部
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