調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は28日、昨年度に他の都道府県へ本社や本社機能を移転した企業は1万6271社(前年同期比18.7%増)だったとするレポートを公表した。前年度から大きく増加し、コロナ禍からの人流回復や需要変化に合わせ、本社移転の動きが活発化している。
同社によると、地区別で転入が転出を最も多く上回ったのは九州で、プラス148社だった。製造業と情報通信業がすべての県で転入超過となっており、熊本県への台湾積体電路製造(TSMC)の進出もあり、さまざまな産業で活況が続いている。また、製造業が基幹産業で、関東や近畿へ商圏を広げやすい中部がプラス147社で続いた。

(出所:東京商工リサーチ)
県別では、転入超過トップは埼玉県で転入が1507社に対し、転出は1257社で、プラス250社だった。主に東京都からの移転が多く、農・林・漁・鉱業を除く9産業で転入超過だった。転入超過2位は、千葉県でプラス192社。前年度は1位だったが2位に後退した。埼玉県と同様に、東京都からの転入超過が中心で、産業別では、卸売業が56社増で転入超過数が最多。金融・保険業と運輸業を除く8産業で転入超過だった。
転出超過数は1位が東京都でマイナス1158社。大阪府はマイナス264社、愛知県がマイナス20社と、大都市圏の中心都市から周辺都市に転出する傾向が目立った。
産業別の本社移転は、小規模事業者が多い「サービス業他」が6211社(同18.2%増)で最も多く、次いで情報通信業が2031社(同21.4%増)、小売業1757社(同23.4%増)が続く。前年度と比べると10産業のうち、運輸業を除く9産業で移転企業が増加した。
他の都道府県に本社や本社機能を移転した企業の業績を調べたところ、黒字企業が構成比67.1%だった。前年度まで2年連続で赤字企業の割合が拡大していたが、24年度は一転し黒字企業の割合が増加した。同社は「赤字を解消するためのコスト削減を目指した本社移転より、商圏拡大や需要、人材獲得を狙った『攻め』の移転が増えた可能性がある」と指摘している。
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