調査・データ運輸安全委員会は26日、JR山陽線新山口駅(山口市)構内で昨年7月、日本貨物鉄道(JR貨物)の貨物列車が脱線した事故についての経過報告書を公表した。機関車の第1軸は車軸が破損しており、モーターの回転を車輪に伝える大歯車をはめ込んだ部分で破断していた。車軸の表面には「かじり」と呼ばれるひっかき傷があったが、圧入作業時のデータは、別の作業データに差し替えられ、残されていなかった。
報告書によると、破断した車軸の表面などに、複数の引っかき傷や、5〜10ミリ程度の黒色の付着物が認められた。ひっかき傷は組み立て時の圧入方向に向かってできており、適切な圧力値を超えて車輪や車軸を圧入したときにできる「かじり」だった。
同委員会でかじりができた原因を調べたところ、圧入作業時のデータは過去に作業した別の車軸のデータに差し替えられ、元のデータは残っていなかった。
同委員会は、今後も調査を続け、事故原因の特定を進める。
事故は昨年7月24日に発生。24両編成の貨物列車が駅構内を走行中、先頭車両が脱線した。事故直後に確認したところ、先頭の機関車の前台車第1軸が左側に脱線し、車軸が折れていた。
この事故をきっかけに、JR貨物では車両検査記録の改ざんが行われていたことが社内調査で発覚。同社は昨年10月、国土交通省から鉄道事業法に基づく事業改善命令を受けた。
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