拠点・施設アマゾンジャパン(東京都目黒区)は1日、三菱地所と協働し、名古屋市に西日本最大規模の物流拠点(フルフィルメントセンター、FC)を8月に新設すると発表した。三菱地所の「ロジクロス名古屋みなと」をアマゾン専用に設計したもので、延床面積は12万5000平方メートルを誇る。商品保管容量は137万立方フィートで、西日本最大級とされる。最先端のテクノロジーや設備を導入した物流オペレーションにより、新センターは人材雇用・技術革新だけでなく、地域社会への還元と持続可能な物流の拠点となる。

▲名古屋市に新設するフルフィルメントセンター(出所:アマゾン)
同社は、本拠点で地中熱空調システムを採用。地下100メートルに200本の地中熱交換器を埋設し、安定した熱エネルギーを引き出す。この仕組みにより、低エネルギーで1階部分の冷暖房を賄い、従来の空調と比べて30%の電力消費量削減を見込む。同FCは国内最大級の地中熱利用設備として、温室効果ガス排出量のさらなる削減を実現する。
また、建屋や駐車場屋根だけでなく南側壁面にも太陽光発電設備を設置し、合計発電容量は5.5メガワットに達する。これは国内オンサイト型物流拠点向け発電設備として最大級であり、アマゾンとしても米国外最大規模という。併設された2.9メガワット時の蓄電設備と合わせて、カーボンフリーエネルギーを最大限活用し、雨天・曇天や夜間でも安定した施設運営を実現する。こうした持続可能性への配慮により、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)で最高評価の6つ星も取得したとされる。
FCの建築では、ライフサイクル全体で30%の温室効果ガス削減を見込む低炭素コンクリートを基礎やオフィス部に採用した。また、雨水も積極的に利用し、貯留槽にためた水をトレイに使用することで、同規模の従来拠点と比較して上水道使用量を40%抑制する。資材調達から廃棄・リサイクルへの配慮も進めている。さらに、日本の建物では初の取得を目指す国際的な環境認証「Living Futureゼロカーボン認証」の取得も見込んでいる。認証取得に向けて、12か月の運用データ評価を経て2026年に申請する予定だ。

▲FC の下で稼働する地中熱交換システム(地表付近)(出所:アマゾン)
同社は働く機会の創出にも注力。管理職や品質管理、設備保全、商品ピッキング・梱包・出荷作業など多様な職種で、数千人規模の雇用が見込まれている。未経験者にも門戸を開き、定期研修やスキルアップの機会を豊富に提供する。自然光を多く取り込む設計に加え、カフェテリア、マザーズルーム、礼拝スペース、バリアフリー対応トイレなども整備し、従業員の心身の健康や多様性にも配慮している。さらにアマゾンロボティクス(米国)による自動運搬や自動梱包機なども導入し、現場効率の向上と安全確保の両立を図る。
加えて、新センターは名古屋市の津波避難ビルにも指定された。周辺住民の一時避難場所になる予定だ。敷地北側は最寄り駅への歩行者用通路として一般開放する。これにより地域社会の安全と利便性にも貢献することになる。アマゾンジャパン代表の島谷恒平氏は「2040年までのネットゼロカーボン達成を目指し、地域の雇用創出とお客様・地球環境の双方に取り組む」とコメントを寄せた。三菱地所代表執行役社長の中島篤氏も「サステナビリティと事業の融合を推進し、先進的な物流施設の開発に挑戦できた」と語った。
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