調査・データインドの市場調査会社アステュート・アナリティカは28日、日本の再生医療・細胞・遺伝子治療向けコールドチェーン(低温物流)市場は、2033年に2億984万米ドルに達するとのレポートを公表した。24年の市場規模は6007万米ドルと推計され、25年から33年まで年平均15.86%成長するとしている。
レポートによれば、日本では再生医療、特にがんや希少疾患の臨床試験が380件以上行われており、極低温保存施設のニーズは過去1年間で45%急増した。細胞治療や遺伝子治療の凍結保存には、マイナス150度からマイナス196度の超低温保管技術が欠かせない。ほかにも温度制御輸送、リアルタイム監視システムなどのサービスに対する需要が高まっている。ヤマトホールディングスや三菱倉庫などの大手物流企業は、需要増に対応するため、能力を拡大している。
市場拡大には、個別化細胞療法の採用が増加も寄与しており、輸送中に厳重な温度管理が必要な自己細胞療法が30%増加している。さらに、再生医療でも政府の後押しで承認される治療法が増えており、脊髄性筋萎縮症や血友病などの疾患に対するCAR-T細胞療法、人工多能性幹細胞(iPSC)、遺伝子治療に対する需要が、コールドチェーン物流サービスの成長を促している。
さらに、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)の統合が物流業界に革命をもたらしており、現在では3000を超えるIoT搭載温度モニタリング機器が使用されるようになった。これらの技術は、輸送中の温度逸脱を30%削減し、生物製剤の安全性と有効性の向上に貢献している。さらに、AI主導の予測分析とブロックチェーン技術は、ロジスティクスの最適化とトレーサビリティの確保に活用され、過去1年間に500件以上の出荷がブロックチェーンを利用して記録されている。
レポートでは「日本が再生医療でリードし続けるなか、コールドチェーン分野は持続的な成長を続ける」としている。
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