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平和島で公道自動運転循環物流に着手

2025年11月21日 (金)

ロジスティクス物流施設集積地である東京・平和島を拠点とする平和島自動運転協議会が21日、会員企業向け説明会を東京流通センターで開催した。協議会は5月の発足以来、参画企業が増加し、自動運転の社会実装に向けた議論を重ねてきた。今回の説明会では「建物内自動運転走行」「一般道での循環ラストマイル配送」という2つのワーキンググループ(WG)の具体方針と、協議会と連動する企業の技術提案が示された。

▲平和島自動運転協議会ワーキンググループの様子

建物内自動運転走行WGは、物流施設内でトラックがバースまで自走できる環境の構築を目指す。建物内はGPSが届かず、ランプウェイの丁字路や柱による死角など課題が多い。WGではまず課題の洗い出しを行い、2026年度にレベル2での走行実証、27年度以降に複数階走行やバース発着まで検証を拡大する計画だ。施設側にカメラを設置し、危険情報を車両へ送るインフラ設計も検討事項に含まれる。

一方、循環ラストマイル配送WGは、配送先が日々変わる一般的なラストマイルではなく、毎日同一ルートを往復する“循環型輸送”を最初の自動化対象とした。平和島内では東京流通センターと周辺拠点の間で横持ち輸送が多く、これを基盤に羽田空港や高輪ゲートウェイ方面のピストン輸送まで含めて検討する。また、輸送だけでは自動化の効果が限られるため、ロボティクスによる荷役の無人化も重要テーマに据えられた。大田区とはすでに連携を行うことが決まっており、許認可面の調整も見据える。

▲NTTドコモビジネスによる自動運転の実証の取り組みの紹介

説明会後半では、協議会の方向性に重なる技術を持つ企業が取り組みを紹介した。NTTドコモビジネスは、自動運転の遠隔監視に不可欠な通信の安定化に向け、通信品質予測技術、複数キャリアを束ねて最適な回線に切り替える仕組み、車載センサー情報を統合するデータパイプラインなどを説明した。実証では狭隘道路での対向安全や、路面凍結との連携、豪雪地帯での視界変化への対応など、通信とAI(人工知能)を組み合わせた運用例が示された。

住友商事は、自動運転バスの実証や荷役自動化ロボットの開発、3Dデジタルツインによる走行環境再現などを紹介した。熊本市では自動運転バスを運行し、将来的なレベル4の導入を視野に入れる。荷役ロボットは不定形の貨物を自動計測でき、輸送と荷役の双方を省人化する取り組みとして展開中だ。さらに、空港滑走路のAI点検や5GアンテナシェアなどインフラDX(デジタルトランスフォーメーション)の事例も示された。WGでも視野に入れる建物内での自動走行にも使える技術であるが、建物内や外部道路での位置推定については映像と事前マップの照合による精度向上を検証中だと説明した。

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LOGISTICS TODAY編集部
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