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改正物流二法が公布、荷主負担と評価制度に懸念の声

2025年8月29日 (金)

行政・団体国土交通省は8月29日、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」(物流効率化法)と「貨物自動車運送事業法」(トラック法)の一部改正に伴う関係省令を公布した。国内の貨物量の半分を占める大手荷主や倉庫業者、トラック事業者などを「特定事業者」として指定し、中長期計画の作成や定期報告を義務付ける制度が本格始動する。

特定事業者の指定基準も明確化された。貨物自動車運送事業者は輸送能力150台以上、荷主は年間貨物重量9万トン以上、倉庫業者は年間保管量70万トン以上、フランチャイズチェーンなど連鎖化事業者は年間貨物重量9万トン以上とし、物流の主要プレーヤーを規制対象とした。

省令では、貨物重量や保管量の算定方法を具体化。特定荷主には「物流統括管理者」(CLO)の選任を義務付け、中長期計画や定期報告の様式も整備した。CLOは、運転者の荷待ち時間短縮や1回あたり輸送効率の向上といった取り組みを統括する。措置が著しく不十分と判断されれば、勧告や公表、命令の対象となる。審議会体制も業種ごとに指定され、食品や農林水産業は食料・農業・農村政策審議会、酒類業は国税審議会など、命令権発動時の意見聴取の場を分けて整えた。

国交省を含む関係8府省は同日、改正法の省令案について実施したパブリックコメントの結果も公表。5月末から6月末にかけて募集された意見は150件に上り、物流事業者や荷主企業の関心の高さを示すものとなった。

寄せられた意見の多くは特定荷主に課される中長期計画や定期報告の義務に集中した。「努力義務の趣旨に照らして過大な負担を避けるべき」との声が目立ち、政府は義務付けの立場を維持する一方、電子システム導入や一部報告項目の省略規定などで負担軽減に配慮するとした。

また、省エネ法との重複を指摘する意見もあった。CO2排出量や積載率など、両制度で似たデータを異なる形式で提出する非効率さを問題視し、行政横断での整合化を求める声があがった。政府は制度統合までは踏み込まず、今後の政策検討に反映するにとどめた。

さらに、一部からは「KPI未達の場合には段階的に行政指導や社名公表に進むべき」といった強い措置を求める声も寄せられた。政府は、勧告・公表・命令までのプロセスを制度に組み込みつつ、判断基準に即して運用する方針を示した。

計画・報告を基にした評価制度には公平性への懸念が強い。効率化を先行して進めた企業は改善余地が少なく、相対的に不利な評価を受けかねないという指摘だ。政府は業界ヒアリングを重ねながら慎重に検討するとしたが、制度の実効性と納得性の両立は今後の課題となる。

貨物重量の算定方法についても「標準重量を明確化してほしい」「POSデータの活用を認めるべき」といった実務的な要望が相次いだ。政府は標準的な重量原単位の使用を認めつつ、算定困難な場合の代替手法を限定的に許容する方針を示した。

荷待ち時間や荷役作業に関しても意見が集中した。「納品先でのフォークリフト作業は着荷主責務として明文化すべき」との要望や、「センター待機を休憩時間とみなす場合の取り扱い」など現場実務に直結する疑問が寄せられた。

さらに、返品や持ち戻りの過剰品質要求、EDI/API連携に伴うコスト分担といった課題も取り上げられた。政府は必須化までは踏み込まなかったが、今後の政策形成の参考にすると明記した。

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