ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

米FRBの量的緩和縮小、アジア不動産投資に好影響

2013年12月27日 (金)

拠点・施設CBREは、2013年12月に米国連邦準備制度理事会(FRB)が住宅ローン担保証券と米国債の買い入れ規模を14年1月から月間750億ドルに縮小する量的緩和の縮小を発表したことを受け、不動産投資市場に与える影響をまとめた。

同社はこの発表を「アジア不動産市場にとってポジティブ」なものとみており、その理由として「縮小の規模が市場予測に比べて小幅なものにとどまったことに加え、当面はゼロ金利政策そのものに変更はないという明確なメッセージも伝えられた」と説明。

具体的には、FRBの金融政策スタンスが明確になったこと、14年の米経済動向のさらなる改善の見込みを示唆していること、事業計画に関して企業が意思決定をしやすくなるということ——の3点を挙げ、この影響が特に14年にアジアで顕著に現れ、事業用不動産の賃貸市場のさらなる活性化にもつながっていく、と予測した。

また、量的緩和縮小の発表に対する債券市場の反応は穏やかなものにとどまっており、FRBが当面ゼロ金利政策を維持する方針を示していることからも、世界的に金利は引き続き低水準で推移し、将来の金利上昇も経済回復のペースに沿った緩やかなものになる、との見方を示し、利回りが高い投資商品に対して投資家は今後も高い関心を寄せ、事業用不動産にもプラスに作用すると分析。

さらに、世界の多くの地域でコア資産の利回りが低下している中、投資家はより高いリターンを求めるため、アセットタイプやエリア投資対象がさらに拡大することも予想されると見通した。

長期的には米国の金利は正常化に向かうとみており、「貿易への依存度が高く、資本移動に制約のない香港やシンガポールなどで金利の上昇を促し、やがては不動産投資の期待利回りの上昇にもつながる」と予想。ただ、ファンダメンタルズの改善が賃料の上昇につながることで、期待利回り上昇の不動産価格への影響は部分的に相殺されると指摘した。

また、FRBのゼロ金利政策が当面維持されることを踏まえ、「少なくとも向こう12か月は、過剰流動性がアジアの不動産市場で引き続き大きなファクターであるとみられ、不動産利回りも低い水準で推移する可能性が高い」との見方を示した。

日本では、日銀が14年以降も国債買い入れを軸に金融緩和を続ける考えを表明していることから、日米の金融政策の方向性の違いから円安株高の流れが続くという期待が高まっていると指摘した上で、「不動産投資市場をけん引してきたJリートにとって良好な資金調達環境が続くことも意味しており、引き続き活況を呈する」と予測した。