調査・データ帝国データバンク(TDB、東京都港区)は3日、8月の景気動向調査の結果を公表した。景気DIは前月比0.5ポイント増の43.3となり、3か月連続で改善した。米国の関税政策に不確定要因が残るものの、猛暑による川上から川下までの特需や全国の建設需要がけん引し、上向き傾向が続いた。
8月は、記録的猛暑の影響で飲食関連や熱中症対策商材、エアコンなどに特需が生じ幅広い業種に波及した。日経平均株価が過去最高値を更新するなど、金融市場は活況だった。公共の発注が続き建設需要も堅調に推移したほか、旅行関連は好材料。一方でトランプ関税をめぐる日米合意後の混乱は外需の逆風となったほか、屋外レジャーの低迷や価格転嫁の遅れも下押し要因だった。
業界別に見ると、「運輸・倉庫」のDIは43.9となり前月比1ポイント増と2か月連続で改善した。8月は9業界で改善、「サービス」のみ悪化した。お盆休み期間の賑わいなどから飲食関係は川上から川下まで幅広く改善し、季節需要や全国各地の建設需要も景気を押し上げた。加えて、運輸関係は貨物・旅客輸送ともに一定の需要を確保した。他方、人材確保が難しく技術者の不足や物価上昇の圧力に対して価格の転嫁が進まない点などは悪材料だった。
企業の規模別では、「大企業」「中小企業」「小規模企業」が24年9月以来11か月ぶりにそろって改善。「製造」や「卸売」など6業界が全規模で上向いた。「大企業」は「製造」や「小売」がけん引し、4か月連続での改善となった。
地域別では、「北海道」「近畿」など10地域中8地域が改善、「北関東」が悪化、「九州」が横ばい。都道府県別では33都道府県が改善、13県が悪化した。各地の建設需要などがプラス要因だった一方で、一部の自動車関連の低迷が押し下げ要因となった。
今後について同社は、実質賃金と手取り収入の改善、そしてインフレ対策が個人消費に与える影響が焦点となると予想。AI(人工知能)関連の設備投資と訪日客の増加は景気の下支え要因となる一方、米国の関税措置では自動車関連の引き下げ時期の確定が急がれ、貿易取引におけるルールの明確化が不可欠となる。人手不足と物価高は引き続き重しとなり、追加利上げの時期も注視が必要だとした。国内景気は、実質賃金の行方を見極めつつ、当面は横ばい圏での推移を見込んだ。
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