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日清紡HD、繊維事業の海外投資を加速

2011年1月6日 (木)

アパレル日清紡ホールディングスが、繊維事業の海外投資を加速させている。6日、昨年末に繊維事業の重要拠点としてインドネシアの子会社「PT.ニカワテキスタイルインダストリー」への出資比率を63.3%から70%へ引き上げたと発表した。また、中国拠点の新設、インドでのシャツ生産、ブラジル事業の増強など海外事業の強化策を相次いで実施する。

 

インドネシアでは2010年末、PT.ニカワテキスタイルインダストリーの共同出資者が保有する同社の株式を同社が買取り、出資比率を70%に引き上げた。議決権株式数の3分の2以上を保有することで、経営の独自性とスピードを高めていく狙い。

 

現在、同社では新たな織布工場を建設中で、4月に完成させる。これにより同社の織布生産量は40%増の年産3900万ヤードになる。さらに今後の設備拡大をにらみ、10年末に工場隣接地を購入し、敷地を約25%拡大。

 

また、PT.日清紡インドネシア(旧PT.ギステックス日清紡インドネシア)では、昨春にシャツ地用の形態安定加工設備を導入したことで、同社全体の加工能力は月産150万ヤードから190万ヤードに増大した。この投資に合わせ、出資比率も当初の60%から89%に引き上げた。年末完成を目標に厚地染色加工ラインの導入を計画しており、完成すれば加工能力を月産250万ヤードにまで高める計画。

 

PT.ナイガイシャツインドネシアでは6月の生産開始を目標に、縫製工場を建設中。新工場には一般的な形態安定シャツの縫製ラインのほかに、次世代ノーアイロンシャツ「アポロコット」専用の縫製ラインを設置する。新工場では年間160万枚のシャツを生産する。このうち84万枚は「アポロコット」になり、グループ全体の「アポロコット」の生産量は倍増の168万枚となる。現在、日本国内では「アポロコット」の販売が好調で生産が追いつかない状態のため、新工場の建設を急いで進めている。

 

このほか、10年7月にインドネシアのデニムメーカー・マラカサリ社とデニム糸のロープ染色の合弁会社「マラカサリ日清紡デニムインダストリー」(日清紡テキスタイル49%出資)を設立した。4月の生産開始を目指して工場建設中で、年間で600万ヤード(ジーンズ換算で500万本分)を生産する。

 

中国では10年7月にシャツ地の先染仕上加工会社として日清紡テキスタイル100%出資の「日清紡績(常州)有限公司」を設立。年間で600万メートルの生産を目指す。同社で加工する原反は現地の協力メーカー・常州市武進馬杭色織布有限公司で生産し、仕上加工後の生地は子会社・上海蝶矢時装有限公司で縫製するほか、日清紡績(上海)有限公司から各アパレルメーカーへ販売していく。7月から中国での新たな先染シャツの生産体制がスタートする。

 

インドでは現地の繊維メーカーで最大手のバルドマン社と合弁でシャツ縫製会社「バルドマン日清紡ガーメンツカンパニー」(日清紡テキスタイル49%出資)を設立した。今月から生産を開始し、シャツの年間生産量180万枚を計画している。インドでは形態安定シャツ「SSP」の認知度も高く、日本、中国に続くマーケットとして販売面でも注力していく。

 

1972年に設立した子会社「ブラジル日清紡」では、ブラジル市場の成長に対応し、13年の完成を目指して紡績設備で1万錘の設備投資を行う。