行政・団体日本経済団体連合会(経団連)は9月30日、化石燃料に代わるエネルギー源として期待される水素やアンモニアの国際標準化に向けた戦略に関し、「水素・アンモニアの国際標準戦略に関する基本的考え方」を公表した。日本が国際標準化の議論で主導権を確保することが欠かせないとして、国主導で「水素・アンモニア国際標準戦略推進会議」(仮称)を設置すべきだとする提言を盛り込んだ。同会議で、官民が協力して世界各国や関係機関との連携を図り、国際機関のポスト獲得などで議論を主導するとしている。
提言では、日本企業は水素やアンモニアの製造から輸送、貯蔵、利用の各分野で、世界の中でも高い技術力や安全管理能力を持っているとしたうえで、国際標準化で出遅れると「技術で勝ってビジネスで負ける懸念が生じる」と指摘。エネルギー資源に乏しく輸入に頼らざるを得ない日本が、環境性能などについて不利な国際標準化がなされた場合、エネルギー安定供給の確保も困難になるとしている。
このため、日本の特性を国際標準へ戦略的に反映させるとともに国内認証機関の強化を図り、世界市場形成で国際的な主導権を確保することは、産業競争力の強化やエネルギー安定供給の確保の観点から不可欠だとし、議論を主導することの重要性を訴えた。
しかし、日本では水素・アンモニアの国際標準化活動は、サプライチェーン全体を俯瞰した体系的、戦略的な取組みとはなっていない。このため、全体の戦略を推進し重要な活動を支援する司令塔機能として、経済産業省を中心に、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や日本規格協会(JSA)、民間の協議会などで「水素・アンモニア国際標準戦略推進会議」(仮称)を設置すべきだとした。
同会議では、国際標準化に向け、政府内の担当部局と民間が一体となり、国際標準化機関における議論や国別規格・関連認証制度の導入状況などの情報収集や分析にあたり、一元的に整理して情報発信を行う。
さらに水素・アンモニア分野全体のロードマップやアクションプランなど国際標準戦略の策定や戦略のフォローアップなどを進め、ISOやIECでのポスト獲得に向けて官民が緊密に連携。国際的に戦略的なロビー活動を行うほか、国際機関での人材育成や派遣を主導するなど、日本の強みを国際標準へ反映させる体制を早期に構築するとしている。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。