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日本のAMR市場、33年に5倍規模にまで成長

2025年10月9日 (木)

調査・データインドの市場調査会社アステュート・アナリティカは7日、日本の自律走行搬送ロボット(AMR)市場は2024年の2億2576万ドルから、33年には10億7934万ドルへと4.8倍の規模にまで拡大するとのレポートを公表した。この間の年平均成長率(CAGR)は19.2%を見込んでいる。

レポートによると、現代のAMRはSLAM(同時位置推定とマッピング)技術を搭載しており、複雑な環境を精密にナビゲートすることが可能で、高度なLiDAR(ライダー)、3Dカメラ、超音波センサーによって、精度と安全性も向上している。

さらに5G接続によって、ロボットはデータを迅速に処理・送信できるようになり、特に大規模な倉庫や工場で運用効率が向上する。また、日本の人口動態と産業構造の変化がAMR導入を推進する主要因となっており、少子高齢化による労働力の減少が、人を補完できる自律型システムの需要を拡大している。

特に物流分野は、日本でのAMR普及をけん引しており、EC(電子商取引)の急成長と当日配送への需要の高まりを受け、倉庫や流通センターでは保管、ピッキング、資材運搬業務の最適化のためにAMRの導入が進んでいる。自動車や電子機器産業などの製造業では、AMRが生産システムを支え、資材のジャストインタイム供給を確保する上で重要な役割を果たしている。

医療分野でも、医療物資の運搬や反復的な配送業務、医療スタッフの負担軽減のためにAMRの導入が進んでいる。

政府も「Society 5.0」構想などの国家プロジェクトでAMRの開発と導入を支援し、先進的な自動化システムを導入する企業向けの補助金制度などを拡充している。

一方で、ロボットやシステムの相互運用性と標準化が課題となっており、サイバーセキュリティーも解決しなければならない懸念となっている。特にハッキングやデータ侵害への対応は、医療や物流などで運用信頼性の維持と機密情報の保護に不可欠となる。

AMRは物流や製造、医療以外でも、あらゆる分野で導入が進むと予想され、小売業界では店舗内物流や顧客支援、在庫管理へのAMR活用が模索されている。スマートシティ構想でも、清掃や監視、ラストマイル配送など公共サービスへのAMR導入が進むとみられる。

また、エネルギー使用の最適化とカーボンフットプリントの削減に注力する企業にとっても、AMRは製造・物流での業務効率の向上と廃棄物削減への貢献が期待できる。ホスピタリティを含むサービス業も、AMR導入の新たな分野として注目されている。

地域別では、東京、大阪、名古屋などの都市部で、先端産業の集積や物流ハブ、強固なデジタルインフラを背景にAMR の導入が進んでいる、特に関東には、国内最大のEC市場と製造業基盤があり、AMR需要が高い。

今後日本では、AMRだけでなく、人と協働するロボットも加わり、さらに生産性を向上させると期待される。同社は「日本は、先進的なロボット研究と政府の支援、産業の専門知識と相まって、AMRを革新していく世界的拠点となっている。Society 5.0とAMRの統合は、労働力不足の解消、効率性の向上、国民の生活の質の向上に貢献するだろう」としている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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