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自動物流道路の推進やインフラ老朽化対策に意欲

“現場を歩く”大臣の一手──金子恭之国交相に聞く

2025年10月21日 (火)

行政・団体21日に発足した高市内閣で、国土交通大臣に金子恭之衆議院議員が就任した。国土交通大臣ポストが自民党に回るのは実に16年ぶり。2012年以降、公明党が担ってきた同ポストが自民党に移管されたことは、連立政権の枠組みにおいて大きな転換点となる。

入閣直前、記者団の取材に応じた金子氏は、公明党からのポスト移管について慎重に言葉を選びながら、「(自民党議員が大臣ポストに就いて)国土交通行政が後退したと言われることがないように舵取りしていきたい。戻ることはありえない」と、これまでの路線の継続を重視する姿勢を明確にした。

▲16時30分、入閣を伝える電話を受ける金子議員

大臣就任後に注力していく物流政策については、「ドライバー不足の解消に向けたトラックの隊列走行などを実現するための自動運転技術の向上と実用化や、自動物流道路プロジェクトなどを推進していきたい」と述べた。

長らく国土交通行政、とりわけ道路行政に携わってきた金子氏は、今後の重要課題の1つに道路インフラの老朽化対策を挙げた。「埼玉県八潮市の道路陥没事故は下水道の老朽化に起因したものとされているが、下水道とは関係なく全国各地で道路が陥没する事例が相次いでいるのも事実。道路そのものだけでなく、橋梁やトンネルの老朽化も進んでおり、対策を講じていく必要がある」と言及した。一方で道路の新規整備にも取り組んでいく姿勢を示しながらも、道路インフラは「老朽化対策を含めた維持管理と新規整備とのバランスが求められる」と指摘した。

また、道路特定財源の一般財源化後、物流インフラを支える道路整備の予算をいかに確保していくかが課題との認識を示した。自民党議員が国土交通大臣を務めることで、党の道路調査会など関連部会との連携が強化されるのではないかという質問に対しては、慎重な回答を示しつつも、「自分でできることはやり、ちゃんと引き継ぐものは引き継いでいかなきゃいけない」と、自身の経験を生かした政策推進への意欲を示した。

▲道路行政に関わってきた自身の経験を生かした政策推進への意欲を示した

高市総理が掲げる積極財政について、金子氏は物流インフラ整備の観点から慎重な見解を示した。「まずは積極財政ということを高市総理もおっしゃっている。一方、ある程度の財源も確保しなきゃいけないと思っている。建設国債でやるからいいという問題でもないので、その辺のことは課題として考えなければならない」と述べた。

金子氏の選挙区は熊本県の中でも特に広大な地域を抱える。この地理的条件から、地方の物流インフラの重要性を肌で感じてきた金子氏。「東京にいても現場のことはわからないので、これから総務大臣の時もそうだったんですけど、とにかく積極的に地方を回りたい」と現場主義の姿勢を強調した。

インタビューの合間、金子氏の人柄が垣間見える場面もあった。本誌が趣味や休日の過ごし方について尋ねると、「いま自転車競技の管理者を務めている」と明かした。「12月に天草で開かれる走行距離80キロメートルクラスの大会に参加する予定」と笑顔を見せる金子氏。人気漫画「弱虫ペダル」の作者からサインをもらったエピソードも披露するなど、自転車への情熱を語った。健康管理については、「大臣という仕事は、ある意味で健康に良くない。移動に車を使う機会が増えて歩かなくなるから」と懸念を示し、「私はだいたい1日1万歩以上は歩いてきた」と、日頃から健康に気を配っていることを明かした。

入閣の呼び込みを待つ緊張のなかでも、「僕は、申し訳ないけど面白いこと言わないので。カメラの前ではもう本当に堅い男だから。色々引き出そうと思っても面白い答弁できないと思う」と自身を評する謙虚さも見せた。

入閣直前のインタビューでは、ドライバー不足、道路インフラの整備と維持管理、地方の輸配送ネットワーク網の確保など、物流業界が直面する課題への認識を示した。

久しぶりに自民党に回ってきた国土交通大臣ポスト。長年の国土交通行政の経験を持ち、特に道路政策に精通する金子新大臣は、老朽化対策と新規整備のバランス、財源確保、地方の物流インフラ整備など、山積する課題にどう取り組むのか。物流業界からの期待は大きい。

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