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ワクチン物流市場、30年までに38億ドル規模に

2025年10月21日 (火)

調査・データリサーチ・アンド・マーケッツ(アイルランド)は20日、調査レポート「ワクチン物流 – グローバル戦略ビジネスレポート」を発表した。レポートによると、同市場の規模は24年に30億ドルと評価され、その後、年平均成長率(CAGR)4%で成長、30年には38億ドルに拡大すると予測されている。

ワクチン物流は、コールドチェーン物流の中でも特に厳密な温度管理と時間厳守が求められる分野となっている。ワクチンは多くが2-8度での保管を必要とし、mRNAワクチンのようにマイナス70度での輸送が必要なケースもある。製造から配送、接種現場まで一貫して温度を維持することが求められ、わずかな温度の逸脱でも製品の廃棄につながるリスクがある。

新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの大量展開を契機に、超低温冷凍庫やIoT(モノのインターネット)対応の保温包装材、可視化ソフトウェアへの投資が拡大。政府や国際機関による定期予防接種プログラムでも、遠隔地への配送能力強化が進んでいる。一方で、リバースロジスティクス(未使用・期限切れワクチンの回収)や通関手続きの効率化といった課題も残る。

市場成長を支える要因として、各国の予防接種プログラム拡大や温度感受性の高い生物製剤の需要の増加、コールドチェーンへの官民投資の拡大などが挙げられる。mRNAやベクターベースなど新たなワクチンの登場により、より高度な包装技術や輸送手段の需要も高まっている。また、国際的な流通基準や規制が強化されるなか、品質保証や文書管理、リスク管理体制の強化も重要性を増している。

さらに、DHLやUPS、キューネ・アンド・ナーゲルなど世界大手物流企業による設備拡充、スタートアップへの投資増加も市場拡大を後押ししている。AI(人工知能)やデジタル技術の導入も進み、センサーによる温度・湿度のリアルタイム監視、AIによるルート最適化、ブロックチェーンを用いたトレーサビリティー確保などが実用化されつつある。ドローン物流や電気自動車(EV)を活用したラストマイル配送も拡大。電力網が未整備な地域では、太陽光発電式保冷ボックスや可搬式冷蔵庫の導入も進む。これらの技術によって、遠隔地でも安定したワクチン供給が可能となり、在庫切れや廃棄の削減にもつながっている。

レポートでは、ワクチン物流は今後も公衆衛生インフラの中核として重要な役割を担うと見込んでいる。

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