調査・データ国際物流のデジタル化を手がけるShippio(シッピオ、東京都港区)は22日、報道向け記者発表を行い、物流事業者向けクラウドサービス「Shippio Works」(シッピオワークス)の導入企業がリリースから1年で80社を超えたと明らかにした。当初目標の50社を大きく上回るペースで普及が進んでおり、国際物流業務の標準化を後押ししている。
同社の佐藤孝徳社長は「想定していた以上のスピードで導入が進んでいる。属人化が根強く残る国際物流の現場で、業務可視化のニーズが非常に強いことを改めて実感している」と述べた。背景には、フォワーダー各社が慢性的な人手不足や業務引き継ぎリスクに直面し、デジタル化によるオペレーション安定を急ぐ業界構造の変化があるという。

▲Shippioの佐藤孝徳社長
シッピオワークスは、国際物流事業者の営業・業務担当者が荷主とのやり取りを一元管理できるプラットフォーム。船舶の入出港スケジュールや貿易書類のやり取り、案件ごとの進ちょく、チャットによるコミュニケーションを統合し、従来はメールやExcel(エクセル)、電話などで分散していた情報を集約する。荷主も同じプラットフォームに参加でき、両者がリアルタイムに状況を共有できる点が特徴だ。
Shippioによると、導入企業は日本フォワーダー協会(JIFAA)加盟企業を中心に拡大しており、業界全体の1割が利用する水準に達したという。東洋トランス(中央区)、SBSリコーロジスティクス(新宿区)、ヤマタネなどが導入済みで、たとえば東洋トランスでは一人あたり月間20時間以上の業務削減を実現。SBSリコーロジでは荷主評価の向上につながるなど、効率化と顧客満足の両立が進んでいる。

▲同社セールスの堤尚彦氏
また、通関業務を支援する「Shippio Clear」(シッピオクリア)とも連携。インボイスやパッキングリストの照合、税番の付与、申告処理といった通関書類作成をプラットフォーム上で完結できるようにした。これにより、営業・業務担当者から通関担当者までが同一基盤上で情報を共有し、業務全体をシームレスに連携できる環境を構築している。
同社セールスの堤尚彦氏は「誰がどの案件をどこまで進めているかを可視化する仕組みを作ることが最大の目的。業務の品質と効率の両立を支えるインフラとして、さらに普及を広げていきたい」と語る。今後は導入企業を200社規模に拡大し、JIFAA加盟社の3-4割にあたるシェアを目指す。(土屋悟)
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。