調査・データ不動産開発の米クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は4日、アジア太平洋地域の事業用不動産市場は、安定化段階に入り、投資家にとって魅力的な参入時期を迎えているとする不動産市場レポート「2025年第3四半期 APAC投資アトラス」を公表した。特に注目される地域として、日本、豪州、シンガポールなどを挙げている。
同レポートでは、同社独自の2つの評価指標「TIMEスコア」と「フェアバリュー指数」(FVI)で各地域の不動産市場を分析している。TIMEスコアは不動産投資市場の参入・撤退タイミングを示し、収縮を示す「1」から拡大を示す「5」までの範囲で評価する。
不動産価値指数を示すFVIは、投資家にとっての現在の価格設定の魅力についての指標で、5年間の保有期間を想定した場合、投資家が事業用不動産投資から得られるリスク調整後収益率よりも、見込まれるリターンが高いか低いかを評価する。総合指数は0から100の範囲でスコア化され、スコア0は全ての市場が適正価格であることを示し、スコア100は全ての市場が割安であることを示す。
レポートによると、アジア太平洋地域の総合TIMEスコアは現在3.1で、不動産市場全体で成長初期段階の傾向が見られる。金利引き下げと流動性の高い債務市場が優良資産への競争を促進するなか、投資家の信頼感は回復基調にあり、取引活動と取引規模は増加傾向にある。
地域全体では、堅調な賃料上昇と利回り圧縮を背景に、物流・産業用資産が回復をけん引している。オフィスセクターは大幅な価格調整を経て安定化しており、小売セクターは特に中国を中心とする中華圏を除き、転換点を迎える段階となっている。
同社は「投資家が注力を強化し、同地域の長期的な成長可能性を生かして資金を投入する絶好の機会だと確信している」としている。
FVIは2022年第3四半期の22.7から25年第3四半期には62.5へと急上昇し、46%の市場が現在割安であることを示した。2年前の18%から大幅に増加している。バリュー投資を志向する投資家にとっては、豪州とシンガポールが特に魅力的な市場となった。日本は低い空室率と安定したマクロ経済環境で、産業用資産やオフィス資産で引き続き魅力的な市場となっている。インドや東南アジアなどの成長市場は、特に産業用資産で海外投資の関心を引き付けている。
同社は「資金調達が加速しており、データセンターや居住施設、セルフストレージといった高成長分野での付加価値型投資が活発化している。特に豪州、日本、韓国など主要市場での居住施設分野への関心は今後も継続すると予想される」としている。
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