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ヤマト、物流シェアリング構想で米大と協力

2019年9月9日 (月)

▲ ジョージア工科大学フィジカルインターネットセンターのブノア・モントルイユ教授(左)とヤマトグループ総合研究所の木川眞理事長(右)

話題ヤマトグループ総合研究所(ヤマト総研)は9日、トラックや倉庫などの物流設備を物流企業同士がシェアリングして稼働率を高めていく「フィジカルインターネット」の日本における実現を目指し、米国ジョージア工科大学フィジカルインターネットセンターと覚書をとり交わしたと発表した。

インターネット上では情報が流通する過程でこれらがパケット(小包)化されながら、最終的にはまとまりのある情報として伝わるが、フィジカルインターネットはこの考え方をフィジカル(=モノ)の世界で実現し、CO2削減やトラックの積載率向上につなげる「解決策」の一つとして北米、欧州、アジアで研究されている。

日本の物流業界では、ドライバー不足をはじめとする労働力不足が社会的な課題となっており、その深刻さも加速度的に増しているものの、有効な解決策を見出すに至っていないのが実情だ。

そこで、ヤマト総研は複数の物流企業がトラックの荷室を共同利用するボックスチャーター便や、25メートルダブル連結トラック(スーパー・フルトレーラ)の共同利用に取り組む「SF25」など、フィジカルインターネットの一部を構成するともいえる取り組みに注力してきたヤマトグループの立場から、フィジカルインターネット研究の第一人者、ブノア・モントルイユ教授が所長を務めるジョージア工科大フィジカルインターネットセンターの協力を得て、日本国内でこれらの概念を提唱する。

今回の覚書を機に、ヤマト総研内にフィジカルインターネットを研究する専門組織を立ち上げ、2020年3月までに産官学の枠組みで物流問題研究会をスタートさせる。ヤマト総研は日本で深刻化する物流問題の実態に関する情報をジョージア工科大に提供し、ジョージア工科大はヤマト総研にフィジカルインターネットの知見をフィードバックする。

研究会では物流サービス需要者側、物流サービス提供者側の問題を把握するとともに、課題解決の方向性を明らかにするための研究、日本の物流事情を踏まえたフィジカルインターネットのシステム設計・構築を進める。

ヤマトホールディングスでは「物流企業として、日本の物流課題を解決しなければならないという思いから覚書の締結に至ったものであり、必ずしもヤマトグループがフィジカルインターネットの主導権を握ろうとは考えていない。多くのステークホルダーを巻き込んで行くことが重要だ」と話している。