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欧州自動車業界、EUDRの1年延期を要請

2025年11月20日 (木)

国際欧州自動車工業会(ACEA)、欧州自動車部品工業会(CLEPA)、ドイツ自動車工業会(VDA)は12日、EU森林破壊規制(EUDR)の適用開始を1年延期する「ストップ・ザ・クロック」を欧州委員会に緊急要請した。現在、委員会はEUDRの簡素化を進めているものの、提示された修正案は制度全体の負荷軽減にはつながらず、むしろ複雑性を高めていると指摘。法的な不確実性が残るなかで施行時期だけが迫り、サプライチェーン上の混乱が避けられないとの懸念を示した。

EUDRは、EU市場に流通する特定の7品目(牛、カカオ、コーヒー、パーム油、ゴム、大豆、木材)と関連製品が森林破壊に関与していないことを企業に証明させる規則で、2023年に導入された。24年末から大企業に適用される予定で、タイヤ(ゴム)や木材・紙製品など、自動車部材にも広範に影響が及ぶ。森林破壊が確認された場合の罰則は重く、罰金に加え、製品没収や最大12か月の入札・補助金停止などの措置が科される可能性もある。

今回の修正案には6か月の猶予期間が新設されたが、対象は一部条文に限られ、企業が求められる包括的なデューデリジェンス義務には適用されない。さらに修正案そのものが年内に採択される保証がなく、企業は「原規則」と「修正案」の双方を並行して準備する必要が生じている。複雑なグローバル・サプライチェーンを抱える自動車業界にとって、二重対応は事実上不可能だとする。

加えて、修正案には識別番号を大量に発行しなければならない運用変更など、企業側の実務負荷を増やす要素も含まれており、委員会が掲げる「簡素化」とは逆行しているとの声が多い。業界団体は試作材の免除やデミニミス基準の導入、輸入初期段階に義務を限定する措置など、負担を現実的なレベルに引き下げる仕組みの導入を求めている。

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