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中距離ドレージに100キロの壁、供給空白が顕在化

2026年2月4日 (水)

ロジスティクスロジテクノサービス(東京都武蔵村山市)は1月30日、第5回となる「物流研究会」を都内で開催した。海上コンテナ輸送を中心とした国内物流の課題共有を目的とする本会では、2024年問題に伴う供給力の構造的不足や、2030年に輸送能力が34パーセント不足すると予測される「2030年問題」が主要なテーマとなった。冒頭、登壇した清島陽介代表は、国内物流の停滞は日本経済の衰退に直結するとし「物流を担う方々と本音ベースで意見交換しながら前に進みたい」と語り、業種の垣根を越えた「競合ではなく協調」の重要性を訴えた。

▲ロジテクノサービスの清島陽介代表

特に注目を集めたのは、運行規制の強化によって浮き彫りとなった、中距離ドレージにおける「100キロ圏」の供給空白リスクである。清島氏は、残業上限が年960時間に制限されたことで「従来のグレー運行ができなくなり、運送会社はいよいよ本当に走れなくなってきている」と現場の窮状を代弁した。具体的には、往復300キロから450キロにおよぶ甲府や長野・上田方面への運行が、港湾の混雑や事故による滞留で法定労働時間を容易に超過してしまう実態が示された。清島氏は「高速代を支給して時間を短縮することが必須になっている」と指摘し、配車効率の悪い午後着案件が敬遠され、100キロ前後の「中途半端な距離」の手配が極めて困難になっている現状を明らかにした。

また、物流業界が直面している法改正への対応にも言及。4月から義務化されるCLO(物流統括管理者)の設置について、清島氏は「役員以上の決定権者が責任を持つ必要がある」と述べ、荷主企業が物流の専門知識を持つ人材の獲得やコンサルティングを急ぐ動きを予測した。また、ことし1月1日に施行された「中小受託適正化法(取適法)」では、サービス無償慣行などの商慣習を改めて対等なパートナーシップが求められていることが紹介された。

こうした現状・課題の処方箋として提示されたのが、インランド・コンテナ・デポ(ICD)を活用した「中継輸送」と「コンテナ・ラウンドユース」のパッケージ提案である。山梨県の南アルプスデポを拠点としたモデルでは、輸送を港湾近傍と内陸地場に分割することで、ドライバーの「走る時間」を最大化し、深夜出発などの過酷な待機ロスを解消できると説明した。この取り組みは、年間のCO2排出量をおよそ40.7パーセント削減する効果もあり、新物効法が求めるカーボンニュートラルへの対応としても有効である。

さらに清島氏は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の即効策として、荷主とドレー業者を直接結ぶプラットフォーム「海コンマッチング」を明日より提供開始すると発表し、「需要と供給をプラットフォームでマッチングさせていきたい」と意気込みを語った。

意見交換の中では、深刻な担い手不足を指摘する声が相次いだ。参加者からは「海コン業者はトレーラーしか車両を持っておらず、小型、中型車両からドライバーを育てていくことができないが、今後どうやってトレーラーのドライバーが供給されていくのか」という育成面の構造的課題や、「トレーラー輸送を担うドレー業者、車両、ドライバー全てが足りていない。どこか1社の頑張りではどうすることもできない」といった、業界を挙げた抜本的な課題解決を求める切実な声が多く聞かれた。

レクチャーの後には参加者による交流会が行われた。フォワーダーや陸送などの物流関連事業者のほか、港湾関係者、システムベンダーなど多様な参加者がリアルな情報を持ち寄り、盛んな意見交換が行われた。(土屋悟)

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