国際コンテナ船大手のCMA CGM(仏)、MSC(スイス)の2社は15日、マースクとIBMが共同開発した海運業界プラットフォーム「トレードレンズ」に加入した。
コンテナ船最大手でこの取り組みをIBMとともに主導するマースクは、欧州の大手2社がトレードレンズに加わったことで「世界中のコンテナ貨物のロジスティクスデータをタイムリーに一貫して見ることができるようになる」としている。CMA CGM、MSCの2社はマースクとともにトレードレンズの根幹を支える輸送会社として、プラットフォーム内で業務が完結する仕組み(エコシステム)の運用と拡大に取り組む。
欧州の大手コンテナ船3社がトレードレンズに参画したことは、これまで紙ベースの貿易や手作業に依存していた海運業界が本格的なデジタル・トランスフォーメーション(DX)への取り組みを強化することにもつながると期待される。
コンテナターミナル、税関当局、3PL、NVOCC(国際複合一貫輸送事業者)で構成されるトレードレンズネットワークが今後、拡大していくことで「関連書類や出荷データをより早く確実に共有し、ネットワークに参加するすべての企業にメリットをもたらす変革の先駆けとなる」(マースク)としている。
トレードレンズ参加企業は、機密データを共有することなく、それぞれの参加企業が認める範囲で出荷に必要な情報を共有する。情報はほぼリアルタイムデータとして反映され、貨物が世界中を移動する情報を一元的に把握できる仕組みとして、タイムリーで安全な取引記録を作成できるようになる。
トレードレンズのエコシステムは18年に設立され、これまでに175社以上が加入。この中には10社以上の海上輸送事業者、600以上の港・ターミナルのデータを網羅しており、マースクではすでにコンテナ輸送3000万件、イベント15億件、公開書類1300万件の移動を追跡しているという。
https://www.logi-today.com/323294
トレードレンズにONE、ハパックロイドが参加表明(19年7月3日掲載)
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内航海運初、トレードレンズに井本商運が参画表明(19年7月18日掲載)
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