ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

ホンダ、子会社で在庫不適切操作が発覚、損失150億円

2011年1月24日 (月)

話題本田技研工業は24日、連結子会社で商社機能を担うホンダトレーディングの食品事業部水産課で、不適切な取引が行われていたことが判明したと発表した。ホンダトレーディング社はホンダの事業に関連する製品、部品、設備、原材料のほか、農水産物なども取り扱っている。

 

ホンダによると、ホンダトレーディング社の食品事業部水産課で、ホンダトレーディング社が取引先である水産物業者から、水産物の仕入れ期(漁期)と販売期のずれを埋める目的で、水産物業者が仕入れた水産物を引き取り、一定期間経過後に売り戻す「預かり在庫取引」について、2004年頃から水産課従業員が関与した上で、一部取引先との間で、相場価格を大幅に上回る仕入れ金額での在庫受け入れや、同一商品を複数回にわたり反復、循環させる取引が行われていた。

 

さらに、水産課の在庫残高増大の発覚を免れ、在庫削減が進行しているように見せるため、買い戻しを約束して当該取引先以外の会社への在庫の販売も行われていた。こうした不適切な取引が継続されたため、ホンダトレーディング社は取引先からの預かり在庫金額が増大し、取引先に対する売上債権の回収遅延を招いた。

 

ホンダは、こうした不適切な取引の概要について2010年12月20日、ホンダトレーディング社の調査委員会から報告を受けた。ホンダトレーディング社は同日付で、近藤広一副社長兼コンプライアンスオフィサーを委員長として、外部の弁護士、公認会計士を含む調査委員会を設置、事実関係、原因、責任の所在、再発防止策、ホンダトレーディング社での類似取引の有無の把握に取り組んでいるという。

 

今回発覚した不適切な取引により、ホンダトレーディング社では、在庫価値の減損、取引先に対する売上債権の回収遅延の長期化や不良化が見込まれ、損失総額は約150億円となる見込み。同社の連結決算では、前四半期以前の売上高、利益、在庫、売上債権が過大となっていたが、影響が軽微であることから、今期の連結財務諸表で修正を行う。連結税引前利益へ与える影響額は約150億円となる見通し。

 

ホンダでは、今後の対応について、「今回発覚した不適切な取引の原因、責任の所在、再発防止策、類似取引の有無など、調査結果が明らかになり次第速やかに公表する」としている。