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着荷主規制を導入へ、契約外の荷待ち・荷役にメス

2026年3月11日 (水)

行政・団体公正取引委員会と中小企業庁は10日、第4回企業取引研究会での議論を踏まえ、物流特殊指定を改正し、着荷主を新たな規制対象に加える方向性を示した。着荷主が発荷主との契約条件にない荷待ちや荷役、やり直しなどを運送事業者に事実上行わせることで、発荷主や実運送事業者にしわ寄せが及ぶ商慣行に、独占禁止法の枠組みで踏み込む。3月中旬に意見公募を開始し、6月ごろの告示公表、2027年春ごろの施行を見込む。

見直しの軸は、発荷主と運送事業者の関係だけでは是正しきれなかった着荷主起点の問題に対応する点だ。現行の物流特殊指定は、特定荷主が運送や保管を委託する際の代金減額、買いたたき、支払遅延、不当な荷待ちや荷役の強要などを規制しているが、主に発荷主と物流事業者の取引を前提としている。このため、荷下ろし現場で着荷主が契約外の待機や附帯作業を求めても、着荷主と実運送事業者の間に直接の運送契約がないことから、実効的な是正が難しいという課題があった。

新たな方向性では、着荷主による発荷主への行為として、「契約外の荷待ち等を運送事業者を通じて行わせることによって、発荷主の利益を不当に害する行為」を物流特殊指定の対象に追加する。具体的な禁止行為は、不当な運送の役務以外の役務その他の経済上の利益提供要請(いわゆる附帯業務の強要)と、不当な運送の変更及びやり直し(荷待ちや再配送など)だ。発荷主と着荷主の継続的な取引関係に着目し、着荷主側の行為を独占禁止法上の不公正な取引方法として位置付けることで、物流サプライチェーン全体の取引適正化につなげる狙いがある。

(クリックで拡大、出所:公正取引委員会)

適用対象は、資本金や従業員規模が一定以上、または取引上優越した地位にある着荷主で、規模がそれを下回る、もしくは地位が劣後する発荷主との継続的な取引の相手方として物品の引き渡しを受ける事業者が想定されている。取引は物品の販売、製造請負、修理、情報成果物の作成請負など。物流の契約当事者ではない着荷主を、発荷主との商流関係から規制の射程に収める構成で、これまで曖昧に処理されがちだった荷下ろし現場の追加作業に、法的な線引きを与える形となる。

同時に、公取委と中小企業庁は、価格転嫁と支払条件の適正化でも対象を広げる。取適法の対象外取引でも価格協議に実効性を持たせるため、優越的地位の濫用に関するガイドラインを改正し、十分な協議の有無だけでなく、実効的な価格協議が行われたかどうかが判断要素となることを明確化する。拒否や無視によって協議に応じない場合、取引打ち切りを示唆して協議を封じる場合、必要な説明や情報提供を行わない場合などを想定例として追加する方向だ。

▲サプライチェーン全体での価格転嫁・取引適正化の推進に向けた課題の全体像(クリックで拡大、出所:公正取引委員会)

支払条件についても、製造委託等を対象に、取適法の適用外も含めたサプライチェーン全体で支払サイトを短縮するための新たな特殊指定を設ける。正当な理由なく、給付受領から60日を超えて代金を支払わないことを禁止する案で、発注者と受注者の規模基準は設けず、取引上の地位の優劣で適用を判断する。上位企業ほど支払サイトを延ばし、下位ほど資金繰り負担が重くなるという現状への対応を図る。

▲製造業におけるサプライチェーン(クリックで拡大、出所:公正取引委員会)

物流分野では、26年1月施行の取適法により、発荷主と運送事業者の関係に対する規律は強化された。一方で、着荷主による契約外業務の押し付けや、商流側でコストを吸収しきれない構造は残っていた。今回の改正案はその空白を埋めるもので、違反した場合、課徴金は伴わないものの、排除措置命令や確約計画の認定、警告、注意といった行政対応の対象となる。

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