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第3回:各種法規制が厳しくなる現代に必須の「税番管理」、生成AIが判定の根拠示す

経営戦略としての「税番」管理の必然性

2026年3月31日 (火)
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国際グローバルサプライチェーンが激動する2026年、輸出入品に割り振られる税番(HSコード)の正確な特定は、経営戦略の「生命線」となっている。わずかな税番の選定ミスが膨大な追加コストや還付訴訟に発展するリスクを招くためだ。

さらに、安全保障上の輸出管理であるキャッチオール規制や、EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)への対応など、正確な税番ベースでの品目管理が法的義務として重くのしかかっている。本稿では、25年6月にリリースされた「AI税番判定サポートサービス」に焦点を当てる。

膨大な選択肢から探し出すマニュアル作業の限界

現在、税番の判定業務は極めて属人的な領域だ。膨大な量の実行関税率表(輸入統計品目表)から、製品仕様に合致するコードを特定するには膨大な専門知識と工数が必要とされる。

▲NECロジスティクスソリューション統括部ロジスティクス事業開発担当の永瀬祥夏氏

NECの永瀬祥夏氏は、通関業者が注視すべき課題を次のように指摘する。「特定のベテラン通関士に判断を仰ぐしかない状況は、知識の属人化を招き、アナログ的な業務プロセスは次世代への教育コストを増大させている。もちろん税番を正しく判定することも大事だが、社会的なニーズは多様化しており、例えば関税コンサルタントなど、新たな価値を模索していく必要があるのではないか。通関の現場のみならず、荷主企業においては、通関業者に完全委託ではなく、AI(人工知能)を使って通関業者とともに税番を考えていくべきだろう。経営判断に重要な税率に紐づく税番を、自社で管理する重要性への理解は進んでいると考えている」

「根拠」と「不足情報」を提示する生成AIの衝撃

NECのAI税番判定サポートサービスは、品目情報を口語で入力するだけで、生成AIが税番候補をわずか5-10秒程度で判定する。判定作業の時間を80%削減したという報告もある画期的なソリューションだ。

▲税番判定サポート画面。品目を入力すると税番と、その税番を提案した根拠が表示される

特筆すべきは、単にコードを提示するだけでなく、「なぜその税番になるのか」という判定の根拠を表示する点だ。これにより、初学者であっても納得感を持って業務を進められ、品質のバラツキを抑制できる。判定のソースを税関公表データに限定しているため、AI特有の「もっともらしい嘘」(ハルシネーション)も回避している。

「デジタルツイン」への布石

26年には更なる機能アップデートを予定しており、「顧客固有の辞書やナレッジを取り込む機能」も検討。これにより、自社独自の過去の判定資産をAIと連携させ、ノウハウを「企業の資産」として管理できるようにしていくという。

▲NECロジスティクスソリューション統括部ロジスティクス事業開発担当主任の石渡竜也主任

NECの石渡竜也氏はこう総括する。「まずは自ら税番を調べ、データを蓄積すること。それが、生産拠点を変えた際に関税がどう変動するかを試算する『デジタルツイン』の出発点となる。これこそが、経営戦略に寄与する『攻めの通関』の姿だ。全体の90%が改善されるなら、そこで生み出されたリソースを残り10%の高度な判断に充てるべきだ。全体最適の視点で決断してほしい」。

▲税番判定サポートの3つのメリット

AI-OCRで「入り口」を突破し、AI税番判定で「専門判断」を効率化。これら2つのソリューションは荷主企業・通関業者どちらも有効活用できるものだ。しかし、通関業者においてはこのデータを業務の最後まで繋げなければ通関DXは完成しない。次回、最終回ではこれらをワンストップで管理する「関税計算書システム」の価値を紐解く。