ロジスティクス物流マッチングサービスなどを手がけるロジテクノサービス(東京都武蔵村山市)は19日、第6回となる物流研究会を開催した。同会では毎回、主催である同社代表の清島陽介氏から、物流業界の現場課題とその解決策についての講演が行われているが、今回は趣向を変え、物流スタートアップを立ち上げた現役大学生2人が登壇し、自社の事業内容や物流・貿易業界の課題、そしてAI(人工知能)活用の可能性についての講演を行った。
登壇したのは、慶應義塾大学3年生の2人によって創業されたスタートアップ、Cargit(カーギット、東京都文京区)の河村亮CEOと猪俣一樹COO。エンジニアとしてAI研究やアプリ開発の経験を持つ河村氏と、スタートアップ経営や営業経験を持つ猪俣氏という、異なる強みを持つ体制。社名のカーギットは貨物を意味する「Cargo」と「IT」を組み合わせたもの。

▲物流課題を解決するデジタル技術について解説する河村氏と猪俣氏
同社は「産業の最前線にテクノロジーで価値を運ぶ」をミッションに掲げ、物流・貿易を日本産業の基盤と捉え、そこへ最先端AIの実装を目指す。カーギットは半年間の現場訪問や関係者との対話を通じて、物流・貿易領域における主要な課題を大きく3点に整理。第一に、荷主、フォワーダー、倉庫、運送会社、通関業者、船会社など多数のプレイヤーが関与するため、情報の分断やコミュニケーション量の増加が発生しやすいこと。第二に、手書き書類やPDF、Excel(エクセル)、メール、ファクスなど多様な形式の非構造化データが多く流通していること。フォーマットが統一されておらず、関係者ごとに異なるシステムを使っているため、データ連携や情報統合が困難になっている。第三に、長年の商習慣や業務フローといった業界慣習が根強く、新しい取り組みが現場に定着しにくい構造があることだ。
課題認識はあっても運用変更まで進みにくい状況が存在するが、貿易・物流実務の負担増加と2024年問題による人手不足に対し、カーギットはAIが有効な打ち手になりうると見込み、相性の良い3つの技術領域を紹介。まずは自然言語を理解するLLM(大規模言語モデル)であり、ChatGPTやGeminiのように身近な技術として浸透している。これを活用することで、貨物位置や料金などの定型的な問い合わせ対応、要約、メール作成などを自動化できる。次にAI OCRである。従来のOCRより柔軟に書類内容を読み取り、フォーマットが異なる複雑な貿易書類や手書き書類をデータ化し、後続処理へつなげることが可能となる。そして、単なる応答ではなく目的達成に向けて自律的に考え行動するAIエージェントである。将来的には配車や引取時間などの物流計画や手続き業務の一部を、人に近い形で担う可能性が示された。

▲(左から)Cargitの河村亮CEOと猪俣一樹COO
現在カーギットは、通関業者2社と共同で、通関業務の効率化を目的としたAIエージェントの開発を推進。このプロジェクトでは、AI OCRを用いてスキャン画像や写真から書類情報を読み取ってデータへ変換し、手入力の削減と後続システム連携の基盤づくりを狙っている。また、複雑な判断が求められる関税計算や品目分類においては、AIが候補となる分類を提示するほか、関税判断に必要な追加情報もサジェストして支援する。さらに、不足情報の確認依頼を行うためのメールドラフトをAIが自動で生成し、担当者は承認を中心に業務を進められるようにする機能も備えている。最終的には、データ化した情報を税関システムであるNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)への入力へつなげ、転記ミスの低減と処理速度の向上を目指している。同社はこれらの機能実装と検証を進めることで、ボトルネックとなっている手作業を削減し、通関担当者が確認・判断業務に集中できる環境の構築を目指していく。
講演に続いては参加者のネットワーキングの時間が設けられており、フォワーダー、ドレージ業者などから、港湾からのコンテナ引き取りに6時間かかることもある現状が語られた。また、大型免許の取得者は2種免許まで取る者が多く、現在はインバウンド景気でドライバーが観光バスに流れているという声も聞かれた。オリンピック、万博などの大きなイベントがあるとダンプカーへとドライバーが流れたことなども紹介され、大型ドライバーがさまざまな産業の間で流動的な動きをしているとの意見もあった。(土屋悟)
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