調査・データ日本商工会議所と東京商工会議所は17日、「中小企業における最低賃金の影響に関する調査」の集計結果を発表した。全国47都道府県の349商工会議所を通じて3780社から回答を得たもので、運輸業における最低賃金引き上げの影響が全体平均を大幅に上回る実態が明らかになった。調査は2026年2月2日から27日にかけて実施した。
25年度の最低賃金引き上げにより「最低賃金を下回る従業員がいたため賃金を引き上げた」と回答した企業は全体で45.1%だったのに対し、運輸業では57.9%と全体を12.8ポイント上回った。医療・福祉・介護業(67.0%)、宿泊・飲食業(64.7%)、小売業(58.0%)に次ぐ水準で、物流を支える運輸業への影響の深刻さが改めて示された。
特筆すべきは正社員への波及だ。最低賃金を下回ったため賃金を引き上げた従業員のうち、「正社員」が占める割合は運輸業で50.0%と全業種で最高となった。全体平均の32.4%を大きく上回っており、パート・アルバイトにとどまらず正規雇用にまで最低賃金の影響が及んでいる。建設業(41.9%)、製造業(36.7%)がこれに続いており、労働集約型かつ正社員比率の高い業種ほど影響が大きい構図が鮮明だ。
最低賃金の負担感でも運輸業は「大いに負担」「多少は負担」の合計が82.1%と、全体(76.6%)を5.5ポイント上回った。宿泊・飲食業(90.7%)、小売業(86.7%)、医療・福祉・介護業(86.3%)、製造業(82.2%)とともに全体平均を上回る業種の一つに名を連ねており、物流業界の収益構造の脆弱さを改めて浮き彫りにしている。
人件費増加への対応については、全体で最も多かった回答が「具体的な対応が取れず、収益を圧迫」(35.0%)で、「人件費増加分の製品・サービス価格への転嫁による原資の確保」(31.0%)が続いた。地方・小規模企業では「収益を圧迫」が42.9%に達しており、運輸業を多く担う地方の中小事業者が特に厳しい状況に置かれている実態がうかがえる。価格転嫁についても、地方・小規模企業(27.4%)は都市部(29.5%)をやや下回っており、荷主との力関係や競合環境のなかで転嫁が進みにくい状況が続いている。
さらに深刻なのは、今後の見通しだ。仮に来年度以降も同水準以上の引き上げが続いた場合の影響として、「残業時間・シフトの削減」(30.1%)、「他の従業員の賃上げ抑制・一時金等の削減」(25.2%)、「設備投資の抑制・新規事業の取りやめ」(21.7%)、「従業員数の削減・採用の抑制」(21.0%)が上位に並んだ。「既存事業・サービスの縮小」(11.1%)や「具体的な対応が取れず事業継続を諦める(休業・廃業等の検討)」(4.9%)との回答も見られ、地方・小規模企業では廃業検討が7.0%と都市部(3.1%)の2倍超に達している。24年問題への対応で人手不足と運賃交渉が課題となっている物流業界にとって、最低賃金の継続的な引き上げは経営の根幹を揺るがしかねない問題となっている。
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