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住友倉庫、海外・高付加価値物流に1250億円投資

2026年4月1日 (水)

財務・人事住友倉庫は3月31日、グループのパーパスと5か年の中期経営計画「2026-2030」を策定したと発表した。長期ビジョン「Moving Forward to 2030」の最終フェーズと位置付け、物流事業と不動産事業を軸に事業領域の拡張を進める。30年度の連結売上高2800億円、営業利益160億円、ROE(自己資本利益率)8%を目標に掲げる。

新たに定めたパーパスは「つなぐ 支える 次代を創る」。モノや情報の流通を通じて多様な主体がつながり、価値を創出する「ネットワーク協創社会」の実現を掲げ、物流を社会インフラとして再定義した。単なる輸送・保管から、価値創出基盤としての役割へ踏み込む構えだ。

成長戦略は8本柱で構成する。物流領域では、海外拠点拡大と国内物流網の再構築、高付加価値物流の強化が中核となる。海外では米国の食品物流、欧州の化学品物流を軸に、ASEANやインドへの展開を加速する。国内では中継輸送網の拡充や、危険品・定温物流など付加価値領域の拡張により収益基盤を厚くする方針だ。

投資計画では、5年間で総額1650億円を投じる。このうち1250億円を成長投資に充て、物流施設整備や海外展開、DX(デジタルトランスフォーメーション)に振り向ける。特に国内では冷蔵倉庫や危険品倉庫の整備など機能高度化を進める一方、海外では米欧やASEANへの拠点投資を強化する。不動産事業でも物流施設への投資を拡大し、物流とのシナジー創出を図る。

一方で、前中計(23-25)は未達見込みとなり、投資実行の遅れや料金転嫁の遅延、国際輸送需要の下振れが課題として浮き彫りとなった。今回の中計では、成長戦略の具体化とともに、予実管理や進捗管理の仕組みを強化し、実行力の底上げを図るとしている。

物流の構造環境も織り込む。国内では人口減少と労働力不足により市場成長は鈍化する一方、食品や先端材料など成長分野の物流需要は拡大。海外では新興国の経済成長とともに物流需要が増加する一方、地政学リスクを背景にサプライチェーンの再構築が進む。こうした環境変化に対し、同社は総合力の強化を競争軸と位置付ける。

DXも基盤施策として据える。業務の標準化や集約化、AI(人工知能)活用により人的資源を創出し、成長領域へ再配分する方針だ。従来の労働集約型からの転換を図るとともに、サプライチェーン全体での価値提供を高める狙いがある。

同時に、オープンイノベーションによる新規事業創出にも踏み込む。防災・備蓄プラットフォームや次世代エネルギー、宇宙関連物流などを視野に、将来の成長ドライバーの探索を進めるとしている。

財務面では、政策保有株式600億円の売却や350億円規模の自己株取得を計画し、資本効率の改善と株主還元を両立する。温室効果ガス排出量50%削減など非財務目標も設定し、サステナビリティ経営を推進する。

物流事業は依然として収益の大半を占めるが、同計画は「拠点拡張」と「機能高度化」を同時に進める構図となる。単なるネットワーク拡大ではなく、高付加価値領域へのシフトと海外比率の引き上げが成否を左右する。

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