ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

赤澤編集長、CLOに“プランB常設”求める

2026年4月9日 (木)
>> [pdf]この記事を印刷する(PDF)[/pdf]

ロジスティクスLOGISTICS TODAYの赤澤裕介編集長は9日、8日から3日間大阪で開催されている「第7回関西物流展」の特別セミナーに登壇した。セミナーのテーマは「サプライチェーンが物流を起点に変わり始めた〜約3000人のCLO(物流統括管理者)に求められる視点〜」。

▲LOGISTICS TODAYの赤澤裕介編集長

赤澤編集長は、ホルムズ海峡の実質封鎖という地政学リスクや、改正物流効率化法によるCLO選任義務化を受け、日本企業が直面している「常時有事」という現実を浮き彫りにした。

2026年4月1日から特定荷主(年間9万トン以上の貨物を扱う企業)に対して、CLOの選任が義務化された。赤澤編集長はこれに触れ、現在およそ3200人のCLOが誕生しつつある現状を指摘した。同編集長は、CLOの役割を「物流部長の上位互換ではない」と断言。物流の枠を超え、調達、営業、生産計画、法務、ITを統合した「意思決定者」としての重要性を説いた。

赤澤編集長は「CLOの仕事の本質は、プランBの常時設計にある。平常時の効率化(プランA)しか持たない企業は、有事の際に一瞬で立ち行かなくなる」と語った。成功事例として、積載率を9%改善させた日清食品の共同物流や、南海トラフリスクを回避した拠点配置、さらに物流をコストではなく「投資対象」として捉え、ROIC(投下資本利益率)で評価する花王の事例を挙げ、サプライチェーン経営の在り方を示した。

▲会場は予約で満員となり、立ち見も出た

セミナーでは、地政学リスクに伴うエネルギー価格高騰の深刻なシミュレーションも示された。政府の補助金が枯渇した場合、軽油価格は現在の159円/リットルから250円-260円/リットルへ急騰し、原油高と円安が重なれば300円/リットルを超える可能性も現実的なレンジであるとした。

このコスト増の影響について、赤澤編集長は以下のような具体的なリスクを提示した。大型車100台を保有する事業者の場合、軽油価格が現在の補助金下(159円/リットル)から無補助状態(250円/リットル)になるだけで年間1億2800万円、300円/リットルに達すれば3億円ものコスト増を招く。現在、燃油サーチャージを適切に荷主へ転嫁できている運送会社はおよそ3割にとどまっており、残り7割は自腹を切る形で廃業や供給力喪失のリスクに直面している。

赤澤編集長は、CLOが就任初日に取り組むべき必須タスクとして、まず自社の物流コスト構造における軽油価格感応度の定量化を行うことを挙げた。また、委託先運送会社に対しては、改善基準告示(年間960時間上限)の遵守状況、燃油サーチャージの請求可否、実運送体制管理簿の整備状況、多重下請け階層の特定、契約書面の交付状況という5つの重点項目について実態監査を行うべきだと強調した。

改正法によって多重下請けの再委託制限(2回以内)が努力義務化されるなか、赤澤編集長は共同物流の設計についても警鐘を鳴らした。共同物流のモデルには、拠点を一箇所に集約する「中央集約型」と、複数の拠点で往復輸送を行う「分散往復型」がある。中央集約型はCO2削減や効率向上に寄与する一方で、単一の拠点が停止した際に全社の物流が止まってしまうリスクを抱えている。対して、花王とライオンが実施しているような分散往復型は、CO2を45%、コストを25%削減しつつ、片方のルートが止まっても他方が維持されるため、有事耐性が高い。赤澤編集長は、目先の効率だけでなく「止まらない設計」になっているかを評価することがCLOの責務であると語った。

▲8日のTBSに続き、9日はテレビ大阪からの取材に対応

最後に赤澤編集長は、CLOがチームを組み、プランBの設計と実運送体制の適正化を始めた企業と、名ばかりの選任で終わる企業の「90日後の未来」を比較した。後者は転嫁できないコストを自腹で負担し続け、次の有事で事業停止に追い込まれる可能性が高いと指摘。「サプライチェーンは物流を起点にすでに変わり始めている。変わるのは、動いた企業だけだ」と締めくくり、即時の行動を促した。

LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。

ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。